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香港・PMQで「DESIGN WEEK KYOTO」 京都の伝統工芸職人8人が香港へ

伝統工芸の作品が素材や道具と並べて展示される会場

伝統工芸の作品が素材や道具と並べて展示される会場

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 香港でクリエーティブ関連の発信施設としても知られるPMQで9月28日、「Design Week Kyoto 2018 in Hong Kong」がスタートした。京都の伝統工芸職人が8人香港を訪れ、展示会や実演、ワークショップ、香港のクリエーターたちとのクロストークを行っている。

職人たちの姿や環境などを写真に収めた写真展も同時開催

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 日常では触れることのできない京都の職人の手業をより多くの人に知ってもらうことにより、継承してきた先代からの英知を感じ取ることができる機会を通して、創造的交流の場になることを願って企画された同プロジェクト。2016年から企画を率いる発起人の北林功さんの実績と思いを香港を拠点に活躍するデザイナー盛世匡さんが形にした海外初の展示となる。北林さんは元々ポートランドでのデザインウイークをきっかけに、「これを京都でやるべきだ」とプロジェクトを立ち上げた。職人たちが、どこでどんな思いで作品を作っているかを披露し共有することで、それぞれの情報を共有し、それぞれの価値を再認識するとともに、新しい組み合わせなどを生むことにも主眼を置く。

 京都では一定期間、工房や工場を開放し、普段見ることができない現場を訪れることができるようにすることで、モノづくりの担い手たちが直接交流する機会も提供。これにより、新しいアイデアを生む場にもなってきている。香港では各工房を訪れる形にはできなくとも、展示、販売、実演が組み合わさった展開にし、PMQ内のS201号室で展示、S510号室で販売するなど、違うスペースを使って紹介する。展示コーナーでは作品だけでなく、作品を作る道具や制作工程での素材なども併せて展示することで、作品ができあがる過程をより感じやすいようにと工夫を施す。

 西陣織を作る際に用いられる金箔(きんぱく)などの金属箔を貼り華麗な帯などにも重要な役割を果たす「引き箔(ひきばく)」の技術を受け継いできた西村商店は同プロジェクトに参加することで、職人同士の横のつながりができ、箔をガラスに貼ってボードを作ったり、皮に貼ってバングルなどのファッション小物を作ったりと作品の幅が広がっているという。同じ素材を扱う企業でも竹をインテリアと組み合わせて、本物の竹を使いつつも竹を並べてボードに貼り付けることで、さまざまな空間で使いやすくなるようにボードを開発した「横山竹材店」、竹割り、竹編みなど細かい作業で模様を作り、ファッションと組み合わせることで、バックなどを作る「竹工房喜節」など、伝統を守りながらもさまざまな表現で挑戦をする職人の作品が並んでいる。

 仏像の実演コーナーでは、仏師三浦耀山さんが実演で仏像を彫るところを披露した後、構想中の「ドローンブッタ」が空中を舞う一幕も。これは仏像が作られる細かい工程や細工が1000年も前には成立していたことを思えば、それが当時は最新の技術だったとし、「本質を捉えていれば、今の最新の技術と組み合わせた仏像の表現があってもいいのでは」という発想から生み出されたものだという。「平等院に展示されている雲中供養菩薩像がいつの日が空中を舞い、飛雲に乗り空中を飛び交っている菩薩がみられる日が来るかもしれない」と主催者は話す。

 別会場S214号室ではライカ社がスポンサーとなって香港の写真家Jimmy Ming Shumさんが撮影した職人の顔、作品、作品が生まれる環境などを写真に収めた写真展も開催している。

 北林さんは「香港の人の質問は鋭く、作品の価値をよく分かってくれる」と話し、「香港のローカルだけでなく、世界を知っている香港人が日本のモノづくりをうまく発信し、お互いにないものを補い合えたら大きな力になる」と香港の可能性を言葉にした。

 京都で計画する4回目の「Design Week Kyoto 2019」は2019年2月17日~24日に開催予定。香港の展示は12時~20時、10月7日まで。

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