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日系企業へのビジネス環境調査、昨年第4四半期は「改善」が増加

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 在香港日本国総領事館、ジェトロ香港事務所、日本商工会議所は1月25日、四半期ごとに実施している「香港を取り巻くビジネス環境に係るアンケート調査」の結果を発表した。アンケート調査は6回目を数え、2019年9月に始めて以来6回目の報告となる。調査は1月4日~8日にネットで行い、同商議所の正会員(522社)と香港日本料理店協会会員(88社)、香港和僑会会員(28社)の計638社を対象に実施し、団体に所属していない12社も含め278社から有効回答を得た。

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 直近の2020年第4四半期(10月~12月)の香港は政府の水際対策措置の継続による国境を越えた往来の制限によって営業活動に大きな支障が続いていて、香港への訪問客数も激しく落ち込んだ状況が続いている。

 香港は11月半ばの第4波とされる感染数の拡大により経済活動が制限され、小売売上高はマイナス幅が減少しているものの、いまだにマイナス圏を抜けられない状況が続き、10月~12月の失業率も6.6%と過去最低水準を維持している。

 20年10月~12月の業績が前期(7~9月)と比較して、「改善」と回答した企業の割合は前回の31.9%から3.2ポイント増え、35.1%となった。この中で大きく改善が見られたのは運輸及び倉庫業と飲食・小売業で、第三国向けへの荷動きが活発になっていると見られる。悪化、大幅悪化と回答した割合が多かった業種はホテルと観光業で、75%に及んだ。業績が「改善した」と回答した企業(95社)のうち、36.%%が「中国本土への輸出拡大による売上増加」、34.7%が「中国以外への海外への輸出拡大による売上増加」、33.7%が「香港市場での売上増加」を理由に挙げている。

 2021年の1月~3月期の見通しについては、悲観的な見方も強い。「改善」と回答した企業の割合は14.3%となり、前期 (25.4%)に比べ 11.1ポイント減少。「悪化」「大幅悪化」と回答した企業の割合については25.9%となり、前期 23.2%)から2.7ポイント増加している。

 同調査では、本社による香港の評価について尋ねる質問も設定した。日系企業各社の悩みとして、「香港の実情を悲観的に認識している」と回答した人が35.8%となった。悲観的に認識する要因として「日本国内での報道が悲観的過ぎるから」との回答が62.4%、「過去のデモ・抗議活動 に関連したイメージが残っているから」が56.9%などに及んでいる。本社が悲観的に認識することのビジネスへの影響として、 「拠点縮小の検討を指示されたり、促されたりしている」との回答が58.9%。ほかにも「新規のプロジェクトの見合わせや見直しを指示されている」は26.0%、「拠点撤退の検討を指示されたり、促されたりしている」は13.7%など、香港における日系企業は新型コロナ肺炎措置によって往来できないことにより、本社による香港の評価が思わしくなく、香港の実情を説明しきれない現状に苦労をしている人も多いことも浮き彫りになった。

 香港政府に対しては、賃金補助制度の再支給等の経済対策の強化(36社)と共に、強制検疫措置の緩和や、日本・中国本土などとの往来制限の早期緩和(29社)を望む声が多く寄せられる結果となった。

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