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香港・中環に「天ぷら次郎」 一つずつカウンターで揚げるおまかせスタイルで

五感を働かせ、一品ずつ丁寧に揚げる天ぷら

五感を働かせ、一品ずつ丁寧に揚げる天ぷら

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 香港・中環の士丹利街に2月17日、天ぷらのみで勝負する「天ぷら次郎」(ShopE G/F World Trust Tower,No50 Stanley Street, Central TEL 2780 8666)がオープンした。香港には至るところに日本と変わらないレベルの江戸前ずしの店もあるが、天ぷら店となるとまだ指折り数えるほどしかない。

ウニの天ぷらはしそを巻いて揚げる

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 温かみのある木を使ってすっきりとデザインした店内は、照明の光が間接的にうまく差し込むように仕上げることで、「心地良い空間を作り上げた」という。730スクエアフィートに10席のL字型カウンターと個室1室を設け、ビジネスにもカップル向けにも使うことができるようにした。カウンターの奥に水槽も設け、新鮮さにこだわる。

 現在のメニューは3種類。ランチは「昼のおまかせコース」(880香港ドル)、ディナーは天ぷらのみで展開する「晩の天ぷらコース」(1,380香港ドル)と、一品料理などと天ぷらを組み合わせた「晩のおまかせコース」(1,880香港ドル)を用意した。昼は天ぷら8種類、夜は10種類程度だが、コースの内容によって食材が異なり、おまかせコースでは、アワビ、ウニなどの食材に加え、刺し身なども提供する。江戸前天ぷらは魚が多く、野菜は少なめ、きす、えび、穴子をメインに魚が多い。夏場は油ののりも少なめでさっぱりと食べることができるという。春はコゴミやタラの芽など春野菜など旬のものも組み合わせる。

 同店の油は、ごま油と米ぬかから作った米油を混ぜて使っている。素材によって衣の量も揚げる時間も変え、170度と190度に達する温度の違う鍋も2つ並べ、それぞれの素材を「一番良い状態で」揚げる。

 味付けには塩とつゆと両方を提供するが、塩は全部で4種類。ミネラル豊富な藻塩は新潟産のものを使い、梅を使った塩やカレー塩にスダチも添える。大根おろしもたっぷりと使えるように用意し、お好みで調節しながら食べることができるようにした。

 天ぷらのコースは車えびでスタート。産地は温暖な地域、長崎、熊本、沖縄、奄美の周辺の「小さすぎず、大きすぎないもの」を使う。同店の特徴は2種類のエビ。一本はいけすから取ったばかりの生きのものに生粉をつけてサッと揚げたもの、もう一本は揚げる1~2時間前に締め、深く揚げたもので、身とエビの足のそれぞれを出す。

 穴子の天ぷらは、まず木の桶に入った生きの良い状態を見せ、その後、目打ちで頭を固定して打ち込む。新鮮さ、さばき方次第で、ふんわりとした身に仕上げる。

 締めは主に2種類の食事から選ぶ。天茶と天丼に使うかき揚げは、福田さんが自信を持つメニューの一つで、空気を上手に入れて揚げることで、サクサク感を残したかき揚げに仕上げる。ランチには、もう一つの締めとなる「トリュフご飯」を用意。半熟卵の天ぷらの上に食感に少しエビを加え、トリュフを香らせたもの。日本産卵やトリュフなど香港人に人気のメニューとして用意した。

 調理場に立つ福田次郎さんは元々、銀座・天一の出身。モナコやタイでの勤務も経験し、香港に来て4年。自身の名前を持つ店をオープンするに至った。カウンターは「自分がパフォーマンスをする舞台」と言い、背の高さも生かして、揚げた天ぷらを斜めに風を切るように大きく腕を振って余計な油を落とす。「天ぷらとは衣をつけて揚げることで素材が持つ水分をどれだけ抜いて味を凝縮させることができるかが勝負。揚げることで見た目は同じでも素材が古い、悪いなどがあれば逆にそれが引き出されてしまうので、そこが面白いところであり、気を遣うところでもある」と福田さん。

 営業時間は、ランチ=12時~16時、ディナー=18時~23時。現在は新型コロナ肺炎措置の規制に準じて営業している。

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