暮らす・働く

香港の山頂にある高級物件がアジア最高額記録 1平方フィート206万円

  • 63

  •  

 香港の不動産価格は常に世界で最も高いレベルであることで知られるが、山頂(The Peak)にあるマンション「MOUNT NICHOLSON」第3期16楼D室が1平方フィート(0.09平方メートル=約30センチ四方)当たり14万800香港ドル(約206万円)で販売され、アジアで最も高い物件となったことが明らかになった。新型コロナウイルスなどの影響で不動産価格が低迷していたが、まだ本格的な経済回復基調になる前に最高額を記録したことで、香港にある一種の「土地神話」は依然として生きていることを証明した。

[広告]

 MOUNT NICHOLSONは、海港城(Harbour City)などを持つ九龍倉集団(The Wharf(Holdings))と南豊集団(Nan Fung Group)が合弁で開発し、九龍倉のグループ企業である會德豊地産(Wheelock Properties)が販売を請け負っている。

 19戸の1戸建て住宅が並ぶ第1期、1フロア当たり2軒で24戸分がある第2期、第2期の隣に建設され、ほぼ第2期と同じ設計である第3期(24戸)から成る。いずれの家からも「100万ドルの夜景」を自宅から楽しめるのが売り。

 今回、売れた第3期の16楼のD室の大きさは4544平方フィート(422平方メートル=127坪)の物件で、購入金額は6億3979万香港ドル(約93億7000万円)と日本人には想像がつきにくい価格となっている。

 購入したのは永久居民の資格を持つ中国本土の人で、隣の部屋のC室(4186平方フィート)も合わせて購入しており、1フロア丸ごと買ったことになる。C室も1平方フィートあたり13万4000香港ドル(196万円)と高額で、購入金額は5億6092万香港ドル(82億1563万円)となることから、両方合わせて180億円のマンションを購入した計算になる。

 不動産価格が世界で最も高い都市の一つである香港だが、2019年の逃亡犯条例改正案のデモ、2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大の影響で不動産価格が下落していた。しかし、需要と供給のバランスにおいて需要過多という状況は長年解消しておらず、価格が下落すると、誰かがすぐ購入して再び不動産金額が値上がりすることが繰り返されてきてきた。香港は、世界で猛威を振るったデルタ株の市中感染を厳しい水際対策を行うことで単発的な感染に抑え込んでおり、内需が主導する形で経済が回復基調にあった。

 とは言え、まだ回復途中での記録更新について住宅ローンのコンサルタントをしている經絡按?轉介(mReferral Corporation)の関係者は、粤港澳大湾区(Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area)の発展を見越して裕福な中国人が香港の高級住宅を探していること、その高級住宅の供給量は数が限られていること、金利も安いといった要因が高級住宅市場を活況にしていると分析している。

 差餉物業估價署(Rating and Valuation Department)が公表している不動産価格を見ると香港島の40~69.9平方メートルサイズの家の1平方メートル当たりの価格を見ると、2020年9月と2021年9月では3%しか上昇していない。新型コロナは裕福層をさらに裕福にさせたと言われているが、それは香港では不動産市場においてストレートに反映された形となった。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース