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ザ・ペニンシュラ香港「Felix」が再開 ゲストシェフに桐山正輝シェフ迎える

桐山シェフが用意したコースメニューの数々

桐山シェフが用意したコースメニューの数々

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 香港の最高級ホテル「ザ・ペニンシュラ香港」28階でモダンヨーロッパ料理を提供する「フェリックス(Felix)」(22Salisbury Road, Tsimshatsui, Kowloon TEL 2696 6778)が約1カ月に及ぶキッチンの改装を終え、9月17日、桐山正輝シェフによる特別メニューの提供で再始動した。桐山シェフは現在、ザ・ペニンシュラ東京のレストラン「Peter(ピーター)」で料理長を務めているが、香港でゲストシェフとして日本の味覚の数々をメニューに組み込む。

ザ・ペニンシュラ東京「Peter」の桐山正輝料理長がゲストシェフとして香港に

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 桐山シェフはフランスの「オーベルジュ・ド・カサーニュ&スパ」などで修業した後、ルクセンブルクなどで公邸料理人として経験を積み、2007年、開業メンバーとして「ザ・ペニンシュラ東京」に入社。2017年8月にPeterの料理長に着任し、現在に至る。東京では、メインの食材には必ず日本産のみを使い、各地で採れた野菜や魚介類などを積極的に料理に取り入れ、地産地消を意識したメニューを考案。ステーキ&グリルをメインとしながらも、日本人になじみのある調味料や食材などの要素を積極的に取り込み、メニューを提供している。

 今回、桐山シェフが考案したコース「フェリックス・エクスペリエンス」(全5品)は、本来の同店が持つメニューを軸にアレンジしたという。食材もブルーロブスターやホタテ、サーロインなどの香港の通常メニューとは変えず、東京で桐山シェフが調理する時と同じように、ソース類は少なめにして、シンプルな調理法で仕上げる。そのため、それぞれのメニューのタイトルは食材名だけを記したシンプルなものとなる。

 ペニンシュラ香港にはフレンチ「ガディス(Gaddis)」があるため、同店は伝統的なフレンチではない形の西洋料理の立ち位置。桐山シェフは「香港を代表するホテル、そしてペニンシュラの本場である香港に来させてもらえてありがたい」と話し、「国境を越えてカクテルとコースのペアリングなどにも挑戦する機会があれば」と意欲を見せる。

 桐山シェフのスタイルは「発酵や熟成をさせることで素材の味を引き出す」ことを得意とし、「本来足し算であるベースのフレンチに和食の引き算の要素も組み込んだ料理方法」といわれている。今回の特別メニューの中で、香港では一般的に蒸し料理として提供する白身魚「Grouper(ガルーパ)」をムニエルにしたが、「魚を柔らかくするために毎日少しずつ水分を取り除いていく」と話す。

 「Scallop(ホタテ)」は、ホタテのセビーチェにイチジク、生ハム、ミントのチミチュリを添える。「Foie Gras(フォアグラ)」はフランにし、フキに似たヨーロッパの多年草「ルバーブ」とピスタチオを組み合わせた。「Sirloin(鹿児島サーロイン)」は、肉の周りにチリ、パブリカ、オレガノ、そして黒糖など10種類のスパイスをまぶしウニのマッシュポテト、皮付きエシャロットなども添える。

 アラカルトにも東京のレシピを持ち込み、今回も一部提供する。例えば「ツナ」はプロシュートや黒ニンニク、黒酢、ごま油、ショウガなどを使って調理するが、桐山シェフが好む食材の一つ「青森県産の黒ニンニク」は、今回のように豚肉類と合わせて提供することも多いという。「魚にも合うし、アイスクリームなどにも合わせられる」と食材の幅広い可能性を語る。

 桐山シェフは香港のシェフ仲間や客との時間を過ごす中で、「食材を手に入れるという面ではスピード感も質も日本の方が優れているかもしれないが、香港はシェフも客も料理に対してもアグレッシブでパッションを感じる」と話し、「1回目は3日の滞在、そして今回が2回目の香港だが、料理人にとってはダイレクトの反応がやりがいにつながる」と感想を語った。

 ペニンシュラ香港側は、桐山シェフが東京に戻ってからも一部メニューに「足跡が残るように」と考えているという。同特別メニューは1,888香港ドルで、オプションとして同店のソムリエによるワインペアリングを600香港ドル(4グラス)、800香港ドル(5グラス)で提供する。メニューの提供は10月4日まで。

 営業時間は、ディナー=18時~22時(金曜・土曜は23時まで)。

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