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香港の化粧品小売店「卓悦」創業家、コロナで破産 店舗運営は影響なく継続

今後も現在の3店舗を軸に営業を継続する予定

今後も現在の3店舗を軸に営業を継続する予定

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 化粧品小売店大手チェーンの一つ「卓悦控股(Bonjour Holdings)」の創業者、葉俊亨(Wilson Yip)さんらの家族が1月9日、高等法院から破産宣告を受けた。葉氏は既に同グループの経営から離れており、現在営業中の店舗への影響はない。

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 卓悦は1991年、佐敦(Jordan)で創業し、フランスのブランド品を買いたい並行輸入業者がメインの顧客だった。そうした背景から、フランス語の「こんにちは」である「Bonjour」が社名となっている。1996年には日本の化粧品とスキンケア商品をディスカウントとして販売したことで有名となった。

1997年に旺角(Mong Kok)の弼街(Bute Street)に2店舗目を、2000年には銅鑼湾(Causeway Bay)のそごう向かいにある「金百利商場(Island Beverley Shopping Centre)」に3店舗目をオープンした。

 2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)後、中国本土からの観光客による香港観光が解禁され、大勢の中国人が来港するようになると、それまでは年2、3店舗の新規開設だったのが半年で5店舗がオープンするなど一気に出店が加速。店舗数の最盛期は2011年で香港、マカオ、中国で47店舗を数えるまでになった。Suisse Reborn、Franck Olivierなど100を超える海外コスメブランドと代理店契約などを結ぶことで差別化を図り、ライバル企業の莎莎(SASA)としのぎを削った。

 その後、成長に陰りが出始めていたが、2019年の逃亡犯条例改正案によるデモ、2020年から新型コロナの感染拡大により香港の小売業はほぼ崩壊。同グループの2021年業績は2億800万香港ドルの赤字に陥っていた。現在は●灣(Tsuen Wan)の大河道(Tai Ho Road)、尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の広東道(Canton Road)、銅鑼湾の渣甸坊(Jardine's Crescent)の3店舗のみにまで縮小している。

 葉俊亨さんも借金を重ね、2,000万香港ドルにまで借入金が膨れ上がり、高等法院は破産を宣告した。併せて同グループの子会社で化粧品の卸売会社だった「合豊隆」も390万香港ドルの負債を抱えており、こちらにも清算命令が下された。

 同グループは業績悪化から経営陣の入れ替えも行い、葉さんやその妻の鍾佩雲さんは徐々に経営に携わらなくなり、2021年6月からは息子を含めた葉一家は同グループの中で大きな責任のある立場から離れた。そのため、3店舗の営業に大きな影響はない。現在は「科学技術+消費」をテーマに経営を立て直しており、今後は化粧品のECサイト「香港猫」、美顔ビジネスなど4つをビジネスの柱として展開していく計画だ。

 「卓悦」「莎莎」共に夫婦が二人三脚で始めた企業で、創業最初は苦労しながらもここまで成長してきたという成功モデルでもあった。葉さんにおいては、SARS後にビジネスが急拡大し、新型コロナで破産するという、まさに感染症によって人生が翻弄されてしまった人物と言えそうだ。

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