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JA全農、香港に日本産鶏卵加工工場 日本産のみ使用、卵焼き・温泉卵も

インベスト香港のジミー・チャン局長代理、農林水産省道野英司審議官、JA全農乗富幸雄副会長、ジェトロ香港高島大浩所長も式典に参列

インベスト香港のジミー・チャン局長代理、農林水産省道野英司審議官、JA全農乗富幸雄副会長、ジェトロ香港高島大浩所長も式典に参列

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 JA全農インターナショナル香港が葵涌(Kwai Chung)に食品工場を新設し、3月17日、関係者を集めて記念式典を尖沙咀で開いた。

1日に2000本の卵焼きを自動で作る機械も導入

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 同工場の面積は4000平方フィートで、主に卵焼き、温泉卵、卵サンドなど、さまざまな卵加工品を製造する。全農グループとしての海外に食品工場を設けるのは今回が初めて。香港で展開する日系すしチェーンや日本食レストランからの需要に対応するため、日本から香港へ殻付き卵を輸入し、ニーズに応えて卵商品を提供していく。

 工場でメインとなるのは卵焼き。割卵から焼き工程まで対応する自動の機械を日本から導入し、1日に2000本の卵焼きを完成させることができる。ほかにも、鰻(う)巻きや特別な商品を手作りで焼くことができる機械も備えた。香港には1500店舗の日本食店があるともいわれ、卵焼きのほか、ラーメン煮卵や茶わん蒸しなどの需要も見込む。

 「一つ一つは簡単なレシピだが、個店で作ろうとするとオペレーションと人材が必要となる。香港は厨房も狭く、今後ますます一次加工品のニーズが高まってくる。今後は日本料理店だけでなく、ローカル飲食店からの需要も掘り起こしたい」と全農インターナショナル香港の金築道弘社長は話す。

 現在、殻付き卵が輸出できるのは、香港、マカオ、台湾、シンガポール、アメリカに限られるが、香港は海外向け鶏卵輸出全体の93%を占めている。昨年の輸出量は前年比3割増の約2万8250トンに増え、この3年で3倍以上の数字を記録。スーパーの卵売り場は一時期、日本産が陳列棚のほとんどを占める時期もあった。しかし、昨秋始まった鳥インフルエンザの拡大により卵の供給量が減少し、国内でもスーパーでの卵は値上がりした。香港でも、日本産卵の陳列が極端に少なくなってはいるもののまだ手に入る状態だ。

 日本産鶏卵は、国内でも生産から消費者の手に渡るまでしっかりとした流通体制が取られている。殻付きの鶏卵で輸出できるのは、洗浄、汚卵検査、ひび卵検査、紫外線殺菌などの工程を踏み、衛生検査と品質管理を敷いているため。香港でも、こうした日本式の「温度管理、品質管理」が加わることにより、「レストランにも安全で安定的な鶏卵加工商品を提供することができる体制が整った」という。

 金築社長は「現地向け製品の品質を高く維持することが重要で、香港のお客さまの声に耳を傾け、解決策を見出し、提案する。今は、鳥インフルエンザの影響で原料手配に課題があるが、JAグループのネットワークで鶏卵確保に努め、香港に新しくできた食品工場では、各レストランのニーズに合わせた、さまざまな卵加工品を製造していく。深●や広州への輸出の可能性も探っていきたい」と意気込みを見せる。

 ●=土へんに川。

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