2024年香港経済新聞の年間PV(ページビュー)ランキング1位に輝いたのは、香港2025年の祝日発表についての記事だった。
毎年日本人も検索する人が多いことで、昨年に続きランキングトップを飾った「香港の祝日発表」は、地元のメディアの間でも「攻略法」なるものが拡散されるのが特徴。いつ有給休暇(有休)を取れば連休になるかに話題が集まり、それだけ日本をはじめとした旅行に出かける計画を立てる人が多い。
ランキングは今年1月1日から12月12日までに配信したヘッドラインニュースの PV を集計したもの。上位10位のランキングは以下の通り(カッコ内は掲載日)。
1. 香港政府、2025年公休日発表 旧正月に期待、イースターは週末重なる(5/7)
2. 香港の大学がアルプス処理水に関する調査 日本への信頼高く、訪日減らさない(2/25)
3. 香港への旅行者に朗報 出入境手続きの申請表提出が不要に (10/22)
4.香港のワゴン式飲茶「蓮香居」が改名 年明けから「六安居」に(1/4)
5.ミスタードーナツ、香港初進出は尖沙咀に 1号店オープン日決まる(9/10)
6.香港のモールに「ミスタードーナツ」 香港初上陸、モール内に大行列(10/26)
7.香港・旧正月のナイトパレード、5年ぶりに復活 アバンギャルディも来港(1/25)
8.香港で大規模「ドラえもん」特別展、開催へ 世界初のドローンショーも(5/26)
9. 中国国産旅客機「C919」、香港でも商用飛行開始 上海へチャーター便(5/27)
10. 香港の飲茶店「添好運」が新コンセプトの旗艦店 点心以外のメニューも提供(11/7)
昨年同様2位には同じアルプス処理水関連のニュースがランクインした。昨年は「香港の報道と香港人の本音」を書いた記事、今年は、「香港の大学がアルプス処理水に関する調査発表」で、現在も10都県の水産物への輸入規制は残るものの、以前として日本への信頼が高い。
3位には香港国際空港の出入境手続きが簡素化した話題。在住者は香港IDがあるため影響がないが、香港好きなリピーターも多く、日本からのアクセスが多かった。香港国際空港は第三滑走路も供用開始となり、サービスのスムーズ化がますます求められるようになる。
4位と10位は香港老舗の話題。改名した「蓮香居」も「添好運」も飲茶で人気がある店で、「蓮香」が付く店は香港からはなくなったが、東京に「蓮香楼」を展開していたり、「添好運」も日本国内4店舗を展開していたりするなど日本とのつながりも強い。
5位、6位には連続でミスタードーナツの話題がランクイン。香港人は日本や台湾に旅行した際に「ミスド」を土産に買うケースも多かったが、ついに香港でも買うことができるようになった。オープン日には香港人だけでなく多くの日本人も行列に混ざっていた。
7位の旧正月のパレードのトリが「アバンギャルディ」であったあり、8位はこの夏香港中が「ドラえもん」に包まれた話題がランクインしたのも、日本コンテンツの強さを表している。ビクトリアハーバー沿いには、高さ12メートルのドラえもん像がそびえ、ドローンショーで夜空にもその姿が浮かび上がり、「100%ドラえもん&フレンズ展」を中心に、地下鉄、ケーブルカー、レストランなど、さまざまなところにドラえもんが登場。官も民も含め総力を結集してこうした大きなプロジェクトに日本コンテンツが選ばれた。
香港市民が中国本土に出かける「北上消費」が続くことで、香港経済は低迷、空洞化している面は否定できないが、香港への観光客は、現時点で3600万人を超え、数字としてはコロナ禍前に近づいてきた。政府もランタオ島の採石場跡地をリゾート地として再開発するなどさらなる観光地の整備を進めたり、ウイスキーの関税を引き下げたりするなど、域外からの訪問客を流入させ、低迷する香港内消費のてこ入れしたい考え。韓国市場やタイ市場、フィリピン市場などからの来港は完全に復活しているが、日本から香港に訪れる観光客数は、いまだ厳しい状況が続いてる。
日本の中でも飲食関連は香港に進出が相次ぎ、元気がある面も見られるが、在港日本企業の中には、香港市場について本社とのパーセプションギャップの拡大に悩む企業もあるのも事実である。他国は依然として香港を活用するケースも多いが、円安の問題、デモから続く負のイメージが継続していると言える。
引き続き香港の様子をニュースと伝え、日本と香港との関係を中心にさまざまな視点で2024年も香港で取材し、情報を伝えていきたい。