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ローズウッド香港が「世界のベストホテル」に バー部門に続き香港が快挙

世界のベストホテルに輝いたローズウッドホテルの外観

世界のベストホテルに輝いたローズウッドホテルの外観

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 世界の優れたホテルを表彰する「The World’s 50 Best Hotels 2025(世界のベストホテル2025)」が10月30日に発表され、香港のラグジュアリーホテル「ローズウッド香港(Rosewood Hong Kong)」が1位に輝いた。同ホテルは、2023年に2位、2024年に3位にランクインしていたが、今回初めてトップの座を獲得した。10月の世界ベストバー1位を獲得に続き、ホスピタリティー業界にでも香港の存在感を示す結果となった。

ローズウッド香港、客室内の様子

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 同ランキングは、世界6大陸22都市のホテルを対象に、旅行ジャーナリストや業界関係者など800人以上の専門家が投票をするもの。レストランやバーなどの「50 Best」シリーズの一環として、ホテル部門は2023年に初めて発表した。

 香港政府観光局によると、2025年現在、域内には約9万室のホテル客室が供給されており、世界的にも高密度な宿泊インフラを持つ都市である。さらに、年間の観光訪問者数は2025年8月時点の累積推定から約5,150万人に達する見込みで、香港の人口の約6.8倍に相当する。これは、香港が国際的な観光・ビジネスのハブとして機能していることを意味し、空港、港湾、交通、ホテルなどの都市インフラが高度に整備されていることを裏付けている。

 香港のホテル産業は、英国植民地時代の交易拠点としての役割から始まり、1928年開業のペニンシュラ香港など、クラシックホテルが国際的な評価を得てきた。97年の中国返還以降は、国際金融都市としての地位を背景に、ビジネス・観光両面での需要が拡大。2000年代には国際ブランドの進出が相次ぎ、都市型ラグジュアリーホテルの集積地として発展する。

 一方、2019年のデモや2020年以降のコロナの影響により、観光業は一時的に停滞し、稼働率の低下や人材流出などの課題に直面した。2023年以降はインバウンド需要の回復基調にあり、2025年現在では稼働率が70%台後半まで回復している。

 香港では、ホテルが生活の身近な存在として根付いている。観光客だけでなく、地元住民もレストランやバー、スパ施設を日常的に利用するケースが多く、ホテルは単なる宿泊施設ではなく、都市生活の一部として機能している。イベントスペースを日常的に利用するケースも多く、ホテルは「公共空間」としての役割を果たし、週末のアフタヌーンティーや記念日のディナー、ビジネスミーティングの場としても活用される。

 ローズウッド香港は、2019年に尖沙咀に開業した65階建ての超高層ホテルで、ビクトリアハーバー沿いに位置する。館内には11のレストラン・バー、ウェルネス施設、インフィニティプールなどを備える。設計は台湾出身の著名デザイナー、トニー・チー(季裕棠)さんが手掛けた。

 ランキング発表に際し、主催の「50 Best Hotels」のコンテンツ責任者エマ・スレイト(Emma Sleight)さんは「ローズウッド香港は、アジアのラグジュアリーの新たな基準を打ち立てたホテル。都市の中心にありながら、感性に訴える体験を提供している」と評価した。

 香港からは同ホテルのほか、「アッパー・ハウス香港(Upper House Hong Kong)」が第10位、「マンダリン・オリエンタル香港(Mandarin Oriental Hong Kong)」が第41位にランクイン。アジア全体では20軒が選出され、地域としての存在感を示した。

 世界的にもホテル業界では、「豪華さ」よりも「体験価値」や「地域との融合」が重視される傾向が強まっているが、同ホテルも単なる宿泊施設ではなく、都市文化の発信地としての役割も担う。香港では現在、国際チェーンと地元資本によるブティックホテルが共存しており、特に中環や西環では歴史的建築を活用した小規模高級ホテルも人気がある。今後は、西九文化区の整備や新界エリアの開発に伴い、ホテルの立地や機能も多様化することが想定されている。観光政策と都市再生の連携が、香港ホテル産業の次なる成長の鍵となる。

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