香港で長期にわたって同じ場所で展開を続ける老舗スペイン料理「 Ole Spanish Restaurant」(1/F, Shun Ho Tower, 24-30 Ice House Street, Central TEL 2523 8624)の料理長に就任したサルバドール・ベネディクト(Salvador Benedicto)シェフが12月1日、新メニュー10品を発表した。
香港老舗スペイン料理店「Ole」の新料理長に就任したサルバドール・ベネディクトシェフ
創業27周年を迎えた同店は、1998年にカルメロ・ロペスさんがスペインから来港し開業して以来、香港のスペイン料理シーンをけん引してきた。サルバドール・ベネディクトシェフ(通称「サルバ」)をこの秋迎えたが、年末を前に伝統と革新を融合させた新しい10品を発表した。
サルバシェフはバルセロナの名門ホスピタリティー・アカデミー卒業後、ミシュラン1つ星「Sauc」で研さんを積み、カタルーニャ料理の哲学を磨いたという。家庭料理で始まった料理への情熱を、「現代的な技法と繊細な感性で昇華」させ、スペイン各地の郷土料理を香港の食卓へと届ける。店内では以前と変わらず、ギタリストによる生演奏が行われ、食事とともにスペインの音楽文化を体感できるようにしている。
トマトとパプリカの赤いソースで仕上げたカタルーニャ風アサリ料理「Clams Marinera style, onion, garlic and tomato sauce」(160香港ドル)は、スペイン各地で親しまれる郷土料理を、サルバシェフがバルセロナの記憶を込めて再構築したもの。ぷっくりとした新鮮なアサリを、トマト、スモークパプリカ、タマネギ、ガーリック、白ワイン、チリを煮込んだ鮮やかな赤いソースで包み込む。オリーブオイルで軽く炒めてうまみを引き出した後、熱々の陶器皿で提供する。
タマネギのうまみを生かしたバスク風イカ煮込み「Baby squid stew Basque-way with green beans」(168香港ドル)は、北スペイン・バスク地方ゲタリアの郷土料理に着想を得たメニュー。タマネギをじっくり煮込んで甘みを引き出し、トマトと白ワインを合わせたソースにベビーイカを加えることで、海の香りと野菜のうまみを融合させるという。サルバシェフは伝統的な技法を守りつつ、「盛り付けに洗練を加え」、緑のインゲンを添えて彩り豊かに仕上げた。
アンダルシア風イベリコ豚の串焼き「Marinated Iberico pork skewers Andalusian style」(2本120香港ドル)は、南スペイン・アンダルシア地方に根付く郷土料理で、クミン、チリ、パプリカなどのスパイスで味付けした独特な香りが特徴。シェフは脂の入り方が美しいイベリコ豚の肩肉を選び、24時間かけてスパイスでじっくりとマリネ。肉に香りが染み込んだ後、強火で炙(あぶ)るように焼き上げ、表面に軽い焦げ目をつけながら内部は柔らかくジューシーに仕上げる。
ヒラメの丸焼き「Sustainable whole baked turbot “Santruce” style」(680香港ドル)は、バスクの漁師町の風土をそのまま香港に届けるメニュー。バスク地方の港町サントゥルツィで生まれた伝統料理で、ヒラメを丸ごと使う。下処理を施し、表面に切れ目を入れて味を染み込ませ、塩とこしょうでシンプルに下味をつけてからじっくりとローストする。最大の特徴は、仕上げに熱したオイルを注ぐシーン。オリーブオイルにガーリック、チリ、白ワイン、こしょうを加えて熱し、最後に魚の上へと豪快にかけることで、香りが立つ。これは広東料理の蒸し魚を思わせる技法とも共通点がある。
ほかにも、甘みあるカニと鮮やかなサーモン卵を添えたポテトサラダ(158香港ドル)や、イベリコ子羊ショルダーの丸ごとロースト(598香港ドル)などがある。
新しいデザートは2種類。バスク風チーズケーキ(88香港ドル)には、ライムゼストと赤い果実のジャムを添えた。一般的なベイクドチーズケーキに見られる硬い外皮や密度の高い食感はなく、端から中心まで滑らかでクリーミーに仕上げている。ヘーゼルナッツとダークチョコレートのラヴァケーキ(98香港ドル)には、ミルクチョコレートとヘーゼルナッツのプラリネを組み合わせた濃厚なチョコレートソースが「隠されて」おり、スプーンを入れると「溶岩のように」流れ出す。
営業時間は、ランチ=12時~14時30分(土曜・日曜・祝日は11時30分~)、ディナー=18時~22時。