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再開発対象地「中環街市」取り壊し進む-露店の花屋は来年3月まで

毎日朝早くから店頭で花を販売する

毎日朝早くから店頭で花を販売する

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 中環再開発地区の一つ「中環街市」付近では区画ごとの取り壊しが進み、再開発「セントラルオアシス(城中綠洲)」プロジェクトに向けて屋外マーケットの閉店など区画整理が次の段階に進み始めた。

通りを挟んで右側(南)が再開発によりすべて取り壊される計画

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 政府が掲げる再開発地区の対象になっているのは、中環のエレベーター傍にある蘭芳園から始まる結志街を挟み南側から威霊頓街までの区画で、2003年まで街市として使われた建物「中環街市大楼」を中心にクイーンズロードセントラル(皇后大道中)辺りに複合施設が誕生する予定だ。

 結志街と交差する坂道である卑利街や士他花利街も結志街を挟み南側は全て区画整理される。結志街の両側に青果店、麺専門店、精肉店から鮮魚店、パン店までが並び、一つの風景を作ってきた屋外市場はもう元の形では見ることができなくなる。

 結志街の北側に店を構え、今回の整理対象にはならなかった鶏肉専門店「新記」は家族経営で40年。同店で働くオーナーの義理の息子の康文健さん(52)は「悲しい気持ちもあるが、中環が良い方向に向かっていくのであれば受け入れざるを得ないこと」と話す。康さんによると、エスカレーター付近の「セブン-イレブン」は営業を続け、その隣の店からが整理対象になっているという。康さんの店は再開発後も営業を続ける予定。

 今回の再開発に当たっては、店舗を営んできたところは撤退による政府からの立ち退き料が出るものの、露店の人には保証がない。セブン-イレブンの並びの生花店で働き、10番目の兄弟という意味のあだ名を持つ名物おばさん、十十さん(52)は「この場所は、自分が生まれ育ち、自分の親が貧しい時代から歩んできた場所」と振り返る。十十さんの母親は50年間この場所で雑貨を売る店を営み、学校から帰ればお菓子屋へ行ったり店の前で遊んでいたといい、「それぞれの人が近所の商売を支え合うことが根付いていたため、当時はお互いが値切るようなこともなかった」と話す。開発されていくことで、物価が高くなり、「昔からこの地に住んでいた人にとっては違う世界になってしまった」という思いだ。「商売が目的になってしまったが、もともとは助け合いがあり、みんなのおかげで明日があった」と話す。

 十十さんの店では7割以上が常連客。「新しい気持ちで始めたいと思う月曜日と週末を気持ちよく迎えたい感じる金曜日に花を買う人が多い」と笑顔で話す。「ここにいると、観光客からも近くの店のことやタクシーの乗り場などいろいろな事を聞かれ、私は街の案内人みたいなもの」とも。十十さんの露店は2015年3月まで、同所での営業を続ける予定。

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