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銅鑼湾に大戸屋復活-店内には「なお膳」も

色彩や栄養バランスにも注力した定食の数々

色彩や栄養バランスにも注力した定食の数々

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 銅鑼湾のミッドタウンに(5/F, Soundwill PlazaII Midtown,1-29Tung Lung Street,CWB TEL: 2573 8333)12月6日、「大戸屋」が新店をオープンした。

広々とした和空間に仕上げた店内の様子

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 香港で日本の定食スタイル浸透に力を注ぐ同社は、国内外直営とフランチャイズを合わせて400店舗以上を手掛けている。香港は今回のオープンが4店舗目となる。

 店舗面積は7500スクエアフィート。席数は115席。店内は席間隔が広く、手頃な値段を追求しながらも、ゆったりと過ごすことができる空間を演出。メニューは日本版が基本だが、食器は質の良い皿や八角盆を使うなど高級感を演出する。

 今回注目を集めているポイントとして、中環で9年間営業し2012年に惜しまれながら閉店した懐石料理「なお膳」が店舗内に復活した。

 「なお膳」料理長の佐藤直行さんは前店の店じまい後、同店に通っていた大戸屋の三森久実会長の誘いもあり、同社で働く道を選んだ。「形は定食であっても、料理に対する哲学は変わらないことが決断理由だった」と佐藤さん。

 大戸屋はチェーン展開で効率化を図る一方、下ごしらえはしておくものの料理は注文が入ってから調理することにこだわっているといい、枯れ節や塩麹などの発酵食材にも注目。独自のたれなども開発する。米は香港で精米したての魚沼産と新潟産のコシヒカリを洗米器で洗うことで一番おいしい状態で炊いているという。

 香港副総経理の影山博康さんは「単なる定食屋ではなく、本格的なものを提供することで、すしや天ぷらなどの和食のカテゴリのひとつに『定食』を加えたい」と話す。

 定食メニューは、鶏と野菜の黒酢あん定食(95香港ドル)をはじめ、36種を用意。このほか、自家製せいろそば(茶碗蒸し付)(80香港ドル)は毎日打ちたてを提供する。

 佐藤さんが来たことで変化したことも。これまで、水を加えるだけだった麺つゆは、しょう油とさとうで「かえし」を作り、出汁(だし)で割って、最後に削りたてのかつお節を「追いがつお」として加えるそば店の方式に切り替えた。同方式は日本国内の店舗にも導入するなど、佐藤さんの提案が国内に逆輸入されている。刺し身の盛り付け、魚の焼き加減なども佐藤さんが自らが指導する。

 「なお膳」は、基本的には中環時代のスタイルを踏襲し、季節メニューの懐石料理が主力。席数は、かつての大箱ではなく、6席のみ。好みや要望にあわせ、金額は650香港ドルからの設定とした。当面ディナー時のみ営業する。

 現在は金目鯛の煮つけやブリ大根のほか、日によっては雌のズワイガニである香箱ガニを仕入れるなど、20年の店舗経営経験がある佐藤さんが日々目利きした食材を並べる。このほか、50年以上の物を分けてもらい佐藤さんが使ってきた「ぬか床」も活用するなど、環境は少し様変わりしたものの、かつての「なお膳」が戻ってきた。「純粋に料理のことだけを考え、一期一会のお客さまに喜んでもらえることを考えられて幸せ」と佐藤さんは笑みを浮かべる。

 営業時間は、共に11時30分~23時。(日曜・祝日=22時30分まで)。

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