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青森の工芸品「BUNACO」が香港に アジアで初の企画展

会場に並べられたBUNACOブランドの商品

会場に並べられたBUNACOブランドの商品

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 全てをハンドメードで仕上げ、ブナを使った食器、照明などの加工・製造・販売を手掛けるブナコ(青森県弘前市)が現在、中環PMQのグッドデザインストアで特別展を開いている。

3日に開かれたワークショップで、参加者は茶わんを使いながら、ブナコイルに力を加え、思い思いの形の器を成型した

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 同社の商品は、ブナのテープをコイル状に巻き、その巻き方やずらし方を変えることで、さまざまなフォルムを生み出すことができるのが特徴。「世界にたった一つのオリジナル商品を作ることはさほど難しくないが、全てがハンドメードのため全く同じものを量産することには熟練した職人の技術が必要」と同社の倉田昌直社長は説明する。

 同社のブランド「BUNACO」は青森県産のブナを使い、テーブルウエアで人気を集め、バブル期には主要百貨店には商品が並び、よく売れた時代もあったが、その後、一時は倒産の危機が迫った時期もあったという。その後発売した照明などで起死回生を図った企業。今では安定的なビジネスを展開し、約4割を照明製品、約4割をダストボックスやティッシュボックスなどのインテリア商品で構成し、従来のテーブルウエアは2割ほどを展開しているという。

 ブナは他の木材と比較して、吸収した水分を飛ばしにくいという難点がありながらも、水分さえ抜くと固さがあるものの丸みを表現できる素材。薄い板にすると赤みを帯びた木地になり、そこに光を当てると独特の温かさのある照明になるため、日が落ちる頃に展示スペースに行けば幻想的な空間が広がる。注目商品は昨年販売を始めたスピーカー。ブナの円すい状のスピーカーの振動で伝わる音が、内部のざらつきある木地の表面に反射することで音を分散させ、独特な柔らかい音を紡ぎ出す。

 現在の同社の職人は26人。全員が地元、青森の人で、かつ30代が一番多いという。「青森という地方が不利になるのではなく、青森だからこそ生まれる商品で世界を目指すというのがモチベーションにもなる」と倉田社長。パリの見本市「メゾン・エ・オブジェ」で評価され、すでにフランス国内で販売されていることにも自信をのぞかせる。照明の製造・販売を始めて以降、作りたいものを企画するだけでなく、会場で出会う人からの要望を聞き商品企画に生かすことが多いという。「『1万円以上のゴミ箱なんて売れない』という声も社内から上がったが、販売してみると、インテリアの一部となるゴミ箱への評価が高かった」と倉田社長は振り返る。

 展示は10月27日まで。

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