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香港政府予算案発表 所得税予定納税額は2万香港ドル上限に75%減免

減免も盛り込まれた香港政府の予算案

減免も盛り込まれた香港政府の予算案

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 曽俊華(John Tsang)財政長官は2月24日、2016-17年度財政予算案を発表した。それによると、歳入は4,983億香港ドルで、歳出は4,869億香港ドル。将来必要とされる歳出を見込み、740億香港ドルを住宅政策の準備金、500億香港ドルを老人の福祉対策に充てることも盛り込んだ。

2016-17の予算案を発表する曽俊華(John Tsang)財務長官

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 歳出を分野別に見ると、インフラ整備が858億香港ドルと最も多く、教育費に840億香港ドル、衛生対策に776億香港ドル、社会福祉に724億香港ドルなどが続く。

 経済振興では、個人を対象に見ると、所得税は上限を2万ドルとして予定納税額の75%が減免されること。基礎控除額が前年の12万ドルから13万2000香港ドルになった。結婚した場合の控除額は26万4,000香港ドルに、四半期ごとに香港政府に支払う土地のレートが上限1,000香港ドルを控除するほか、老人への多様な控除が盛り込まれた。

 法人では、事業所得税が個人所得税同様、上限を2万ドルとして予定納税額の75%が減免される。商業登記証(BR)は4月1日以降分は無料となる。飲食、小売り、移動式屋台などの食品販売許可証による制限を受ける店舗(計2万7000店)と旅行会社(1800社)とホテルとゲストハウス(計2000軒)は1年間のライセンス費を免除。今年初開催となるフォーミュラEなど観光振興費は2億4,000万香港ドルに設定された。中小企業への支援対策も充実させる。

 ベンチャー企業向けに20億香港ドルの基金を創設するほか、映画産業向けの基金にも2,000万香港ドルを投入する。香港科学園(Cyberport)の拡張には44億香港ドルを予算化した。

 既存銀行などの金融機関に取って代わるものとして大きな期待が寄せられているフィンテック関連でも、専門のグループを作るだけではなく、インベスト香港を通じて香港進出を手助けするほか、サイバーポートにある3000平方メートルの専用スペースを提供する。さらに金融では、香港と中国本土の資本市場での相互交流に関してのプロモ―ション費を盛り込むなど、金融センターとしての香港をより進化させるための予算を組んだ。

 人材育成では、中等教育でITプログラムや科学技術でのインターンシップの充実と中国本土およびASEAN諸国でインターンシップをする学生を増やす。業訓練学校に通う生徒のための学費援助資金には2億香港ドルを要望するなど、若者の就業支援策を充実させた。

 老人ホームのサービス支援などに1億4,000万香港ドルを計上。開園時間を延長した保育所、幼稚園を3800カ所に増やすことにも予算が割り振られた。香港国際空港第3滑走路向けのシステム、「一帯一路」関連、特区政府が発行するインフレ連動型債券(iBond)についての予算も組み込まれた。

 これに合わせて住宅建設・供給にも言及し、2016‐17から2025‐26年度の10年間に28万戸の公営住宅の供給を目標にするほか、29区画を住宅用に開放し民間マンション1万9000戸を建設可能にする。また、香港内8カ所、計54万平方メートル分を商業ビル用の土地として提供する。

 併せて、香港政府は2015年の国内総生産(GDP)は2.4%だったとし、2016年は1~2%になると予測する。

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