香港―深センでの相互株式取引、実施を承認 12月末に正式開始

アジアを代表する証券取引所である香港交易所(HKEx)

アジアを代表する証券取引所である香港交易所(HKEx)

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 中国の内閣にあたる中国国務院は8月16日、香港と深センの2つの証券取引所の間での相互株式取引である「深港通実施法案」(通称:深港通=Shanzhen-Hong Kong stock connect)の実施を承認した。実施には数カ月の準備期間が必要なことから、2016年12月半ばから12月末に正式に開始されるとみられている。

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 香港交易所(HKEx)の前身は香港聯合交易所と香港期貨交易所など3つの取引所が2000年に合併して作られたもので、香港金融の中心地区である中環(Central)の交易広場(Exchange Square)にある。恒生株価指数(Hang Seng Index=HSI)は、日経平均株価などと並びアジアにおける重要な株価指数となっている。

 中国内には、香港のほかに上海と深センの3都市に株式市場があるが、歴史的な背景や取引をするための条件からHKExは中国にとって外国の株式市場のような存在。株式の世界でも一国二制度のような形態が継続してきたが、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)で香港経済は一気に変調を来す。中国政府は香港経済を立て直すため中国本土の経済との一体化を進めてきた。その一つが中国と香港の経済貿易緊密化協定(CEPA)だ。日本より一足先に香港でも爆買いが起こった原因でもあり、香港経済は回復したが2008年のリーマンショックで再び不景気になった。HSIでみると2007年の終値が27812.65だったが2008年は14387.48と一気にほぼ半分に下がった。そうした状況下で浮かび上がって来たのが香港と上海の株式市場の交流である「滬港通」(Shanghai-Hong Kong Stock Connect)で、2014年11月17日に開始した。これは中国本土の個人投資家に香港株の売買を、世界の投資家にA株(中国国内で上場されている人民元建ての株で、中国国内投資家向けの専用の株)の売買を可能にするもの、相互取引は実現させたが海外から1日当たりの投資額は130億人民元に上限を設けるなどの制約を設けたり、2015年夏には中国株が売られて大幅に下落したりしたこともあり、事前の予想よりも盛り上がりに欠けた。それでも滬港通開通後1年間で上海証券取引所の総合指数は45%、HSIは7.6%上昇していることから、両市場をある程度活発化させたという見方は多い。
 香港と上海がつながったことで次の期待は当然、香港と深センの相互取引になる。深セン証券取引所は深センらしくハイテク株に強みがあり(全体の25%を占める)、外国人はハイテク株に投資をする事が可能になる。取引が可能な銘柄は深セン株が約880、香港株が約420銘柄で個人投資家は口座に50万人民元以上なければならない。基本的に滬港通にほぼ準じた取引ルールになる。開通後は上海と深センの両市場から1日最大で210億人民元が香港に流れてくると予想されている。

 ただ、深セン証券取引所に上場している銘柄が、それほど企業規模が大きくなく、あまり知られていないため、中国最大のECサイトであるアリババも深センではなくニューヨークで上場するなど、外国人投資家にとって深セン市場は今一つ魅力に欠ける。HKExの李小加(Charles Li)チーフエグゼクティブは「A株が国際化することにもつながり正しい方向に向かっていると思う」と相互取引の意義を強調したものの、相互取引発表当日の両証券取引所の終値は、深センは少し上昇したが、HKHSIは下落して取引を終了した。

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