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香港の最大手菓子店「奇華餅家」、湾仔に旗艦店 歴史的建造物を改修

香港市民にも観光客にも手頃で人気のある奇華餅家旗艦店の外観

香港市民にも観光客にも手頃で人気のある奇華餅家旗艦店の外観

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 中華風の駄菓子やクッキーなどの販売最大手「奇華餅家(Kee Wah Bakery)」は2月9日、湾仔に旗艦店(188 Queen’s Road East, Wan Chai, Hong Kong TEL 3898 3662)をオープンした。第3級の歴史的建造物を再開発した店で、店内には昔の奇華餅家の写真を掲示したり、模型で昔の店を表現したりするなど、同社の歴史も分かる店内に仕上げている。

改修前の店舗外観の様子

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 建物は3層構造で、横に3つの店が連続して並んでいた第3級の歴史的建造物であり、1930年代に建てられたとみられている。以前は「興時洋服」という店があったことが記録として残っている。2015年に新しいショッピングストリート生まれ変わった利東街(Lee Tung Street)の再開発が確定した時、香港政府はこの建築物の再活用方法を模索するため、使用用途を保留していた。その後、この物件を使いたい希望していた企業と話し合い、奇華餅家が旗艦店を開くことを認めた。

 奇華は1938年に黄業栄さんが油麻地(Yau Ma Tei)の上海街で創業し、お菓子を含め食品を売る小さな個人商店として始まったブランド。中国のお菓子の代表的な存在である「光酥餅」(小麦粉、卵、砂糖、粉ミルクだけで作ったもの)、アーモンドを使ったクッキーである杏仁餅を販売したところ評判を呼び同ブランドは成長した。

 その後、月餅や中華式の婚礼の時に出される嫁喜禮餅でも有名になり、現在は香港に62店舗、マカオ2、広州5、上海5、深セン2、台北7、新北1、桃園1、新竹1、台中2、台南1、鷹雄2、ロサンゼルス4、サンフランシスコ3に店を構えるまでに拡大している。

 旗艦店の店舗面積は約1000平方フィートで、店内に奇華の1号店や1950~60年代の店をかたどった模型を展示。精巧なミニチュア模型で当時の雰囲気が分かるようにしている。当時の写真なども掲示して奇華餅家の歴史を振り返ることができるコーナーも。店内にはオーブンを設置して、店員がクッキーやタルトなどを作っている様子も見る事ができるようにした。建物が建設されたのが1930年代であること、店の創業が1938年という同年代であることが、奇華餅家サイドとしても思い入れがあり、旗艦店となった。同社の黄錫祥總經理は「地階部分の投資額だけでも7桁の数字」と話し「香港人や観光客に昔の香港を懐かしんでもらいたいと考えて造った」と話す。

 販売商品は、お菓子の詰め合わせ「情繋舊香港」(110香港ドル)、パンダのクッキー「熊猫曲奇禮盒」(96香港ドル)、エッグタルト「蛋撻」(10香港ドル)など。

 現在は地階のみの営業だが、上階にカフェやワークショップなどができるスペースを建築中で、今年5~6月までにはオープンする予定としている。

 同地区の歴史的建造物の再開発について香港政府は、1920~1950年代に建てられ、真っ青な唐楼があることで有名な石水渠街(Stone Nullah Lane)沿いの建築物についても老朽化が進んだことから奇華の旗艦店事業と並行して補修を実施している。従来8軒あった小売りスペースを12軒に増やした。そのうち「黄屋」と呼ばれている建物で貸し出す予定店舗数は6軒で、大きさは361から409平方フィート、残り6軒の「藍屋」は629から880平方フィートで、家賃は1万1,540香港ドル~3万1,664香港ドルに設定し、4月~6月までには貸し出す計画だという。

 営業時間は8時30分~21時30分(日曜・祝日は10時~)。

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