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予約が取れない店「賛否両論」、香港に初出店 銅鑼湾一等地で勝負

「賛否両論」香港店のカウンター

「賛否両論」香港店のカウンター

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 「東京で予約が取りにくい店」の一つといわれる笠原将弘シェフの「賛否両論」が3月21日、銅鑼湾の新ビル(5/F, V Point, 18 Tang Lung Street, Causeway Bay, Hong Kong TEL 3705 2672)にソフトオープンする。

笠原シェフと香港を統括する小山シェフ

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 香港店を手掛けるのは吉祥広場(Exciting Japan Square)。同社は日本で食品、外食、自動車など幅広く手掛ける枡屋グループと業務提携を行い、不動産コンテンツ開発企業として2016年に設立された。V Pointは、化粧品やなどを中心に販売する莎莎國際(Sa Sa International Holdings)が経営するビルで、テナント誘致プロジェクトの一環として人気店「賛否両論」に興味を示し吉祥広場を通じて笠原さんにオファー。同ビルの3フロアに連続的に日本料理店をオープンする注目のプロジェクトだ。笠原さんは、「長年海外進出を考えていた訳ではなかったが、香港は、あらゆる日本食材が手に入ることもあり、自分の料理がどこまで香港で通用するかを試してみたいと思い進出に踏み切った」と話す。

 笠原さんは料亭で9年働いた後、他界した父の焼き鳥店を守ろうといったん店に戻ったが、その際にも「フルーツソースをかけたりゴマ豆腐の手法で野菜を使用して新しいメニューを作ったり、低価格の食材でも工夫をしてみたりした」と原点を振り返る。

 笠原さんが信頼を寄せ、香港店を取り仕切るのが小山雄史料理長。料理学校を卒業後、フレンチレストラン「パリの朝市 銀座店」で修業し、イタリアン系のカフェで料理長を務めた後、2007年に伊勢丹新宿店に開店したレストラン「キッチンステージ」の料理長に就任した。「2~3週間ごとに有名レストラン、料理人のメニューを食べることができる場所で、レストランの厨房を訪れ、レシピを教えてもらいつつ、調理の仕方を勉強し、納得してもらって初めて提供できた」と話す。年に20~30の料理を再現してきたが、あらゆる形の料理を作ることができるオールラウンダーとなった。

 笠原さんとの関係は「賛否両論」の味をキッチンステージで再現したことから始まり、東日本大震災の復興フェアでも一緒に行ったりしたことのある仲。笠原さんは小山料理長の腕を信頼し香港店の料理長についてオファーした。

 小山さんは香港に来て、まずは水質の違いに驚いたという。調理器具一つとっても、日本食に必要な鍋がなく調理器具を専門通りに探しに行くなど、細かな苦労もあるようだ。「料理はチームワークが大事。現場を安心して任せることのできる絶対的なリーダーを育て配置し、ほかのシェフもトレーニングしつつ、その人たちのスキルに合わせた調理のお願いして料理を作っていくつもり」と香港人料理人の育成という役割も担う。

 店舗面積は1000平方フィート。席数はカウンター13席、テーブル席(個室)8人用の計21席。

 料理は月替わりで1種類のコース料理(1,200香港ドル)のみ。先付け、揚げ物、おわん、お造り、八寸、蒸し物、肉料理、食事、デザート2種で、4月のメニューは、先付けに新竹の子・わかめほたるいかを使い、揚げ物は、春きゃべつもち天ぷらなど季節を重視。ご飯物は、東京でも人気のたい飯なども提供する。小山シェフは「笠原と香港人の橋渡しをできたら」と意気込みを見せるが、その意味として「まずは笠原が日本で創作した料理がベースとなるが、香港には日本では売られていない食材もあり、現地ならではの情報を日本にフィードバックして、食材として活用することで香港店ならではという独自性も打ち出せていけたら」と話す。

 営業時間は18時~22時30分。要予約。

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