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「香港独立映画節」開催迫る 日本からも2監督の作品上映

「大和/カリフォルニア」シーンの一部 (写真:主催者提供)

「大和/カリフォルニア」シーンの一部 (写真:主催者提供)

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 香港で毎年1月に開催されるインディペンデント映画に焦点を当てた映画祭「香港独立映画節(HKIndiFF)」が1月8日から15日間にわたり、香港内の映画館など4カ所で開催される。

もう一つの上映作品「沖縄/大和」は沖縄の基地問題をベースに

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 同映画祭は2008年に始まり、「香港国際映画祭」「香港アジア国際映画祭」などの映画祭とは一線を画し、アジアを中心としたインディー映画に特化した作品を取り上げるのが特徴。香港では一般的には商業映画でなければビジネスとして成立するのが難しく、商業映画でも観客の入り次第でドラスチックに上映期間が設定されるため、もともとインディー映画が育ちにくい環境がある。

 そのような状況下、香港でインディー映画祭を企画する団体「影意志(Ying E Chi) 」が主体となって開催を続け、将来有望な映画監督や作品の発掘・登竜門として近年香港内外より注目されている。今年は香港、台湾、中国、マカオ、ドイツ、フランスから約30作品を上映。台湾の作品が14作品と最も多く、香港からの3作品のうち2作品は「雨傘革命」を主題にしたもの。日本からは比嘉賢多監督の「沖縄/大和」(2014)、宮崎大祐監督の「大和/カリフォルニア」(2016)の2作品がノミネートされた。

 映画「沖縄/大和」の比嘉賢多監督は1991年沖縄生まれ。映画制作を中心に、論考の執筆、映画上映会運営などの活動をしている。現在は漫画家の北野景さんと共に日中関係をテーマに記録映画とエッセー漫画を制作しているという。同作品は沖縄のアメリカ基地問題を中心に日本本土と沖縄との複雑な関係や感情を沖縄の人々の言葉を通じて問いかけるドキュメンタリー作品で、「PFFアワード2014」「なら国際映画祭2014 NARA-WAVE部門 最優秀作品賞」を受賞した。同作について、比嘉監督は「この映画の中で追求される『心的ライン』とは人類共通の課題であると考えている。人は境界線を引くことで自らの領域を守り、また同時に、他者へと攻撃的になれる。映画を見た人が、『自分が何に対して境界線を引いているか』考えるきっかけになれば」と話す。

 映画「大和/カリフォルニア」の宮崎大祐監督は1980年神奈川県生まれ。助監督として黒沢清監督のトウキョウソナタに参加した。以降、映画監督・脚本家として活動しているが、同作は神奈川県大和市にある厚木基地近郊に住むラッバーを目指す少女が主人公だ。主人公の母の知人である米兵の父と日本人の母を持つ娘と少女との出会いを通じて、少女の諦めかけていたラッパーへの夢が変わる姿を描いたドラマ。エストニア、モントリオール、シンガポールなどの映画祭やマカオで上映され、いずれも高い評価を受け日本では今秋日本上映予定で未公開だ。宮崎監督は「僕の映画は2つの文化・力の間で引き裂かれ生きる人々の物語。同じような状況に置かれた香港の方々がこの映画を見てどのような感想を持つのか、今から楽しみ」と香港上映に向けたコメントを寄せる。

 両作品共に香港電影館電影院(50 Lei King Road, Sai Wan Ho)で上映を予定し、両監督とも登壇し観客とのQ&Aセッションも予定。両作品共に両監督の地元の米軍基地を題材とされている点にも注目が集まる。上映料金は、一般=70香港ドル、60歳以上・学生等=56香港ドル。チケットはプレイガイドURBTIXで販売中。今月22日まで。

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