香港を代表する漫画家・王澤さん、93歳で永眠 親子2代で作品展開

世代を超えて愛される漫画「老夫子」

世代を超えて愛される漫画「老夫子」

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 漫画「老夫子(Old Master Q)」で知られる漫画家・王澤(本名=王家禧)さんが1月1日、居住先の米国・カリフォルニア州で内蔵衰弱のため亡くなった。93歳だった。

会期を延長して開催した「老夫子」作品展

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 王さんは1924年天津生まれ。芸術関係の仕事をしていたが1956年に香港に移住し、1962年に長男の王澤さんの名前を使って「老夫子」の連載を始めた。

 基本は4コマか6コマで構成し、文字を使わず絵だけですべて描いた作品もある。識字率の低い時代でも、絵だけで内容が理解できたことから、中国全域の人々に知られた。映像化された作品は、ほとんどがドタバタ劇として描かれ、広東語があまり分かららなくても笑えるシーンが多い。主役は老夫子で、年齢は40歳前後、無職、未婚、やせ形という設定。大蕃薯(Big Potato)と秦先生(Mr. Chin)の3人を中心に話を展開する。日常生活を描いたり、社会を風刺したりしたユーモアたっぷりの作風で、読めばその時代の背景が分かる作品が並ぶ。最近では「ポケモンGO」を題材にするなど、時代を映し出す作品を輩出した。

 王さんは1980年代に米国に移民したが、創作活動は続けた。香港で生まれた王家禧の長男の王澤さんは、アメリカで建築を勉強し建設関係の仕事に従事していたが、1995年からは台湾の大学で教鞭(きょうべん)をとる一方、アニメ、映画、出版、版権販売など「老夫子」を扱う会社「老夫子工作室」を設立。父親から連載を引き継いだ。親子で画風が微妙に異なるという声もあるが、現在36ページの漫画雑誌の発行を続けている。

 半世紀、2世代にわたる作品のため批判されることもあり、1907年~83年まで中国本土で販売された「朋弟」とそっくりだという争議が起こったものの、老夫子側は盗作を否定。その結果、人気は衰えず、これまでに1億冊が販売されている。香港のみならず、台湾、中国、マレーシア、インドネシア、タイなどでも人気を集めたほか、何度もアニメ化、ドラマ化、映画化されてきた。2001年に公開された映画は「老夫子2001」(邦題=恋のQピッド)は、コンピューターグラフィックスを使い老夫子のCGと謝霆鋒(ニコラス・ツェ)と張柏芝(セシリア・チョン)が出演した実際の映像を組み合わせ上映する試みで話題を集めた。

 昨年8月には、老夫子を題材にしたレストラン「老夫子餐館(OMQ (Diningroom)」(1/F, Amber House, 777-781 Nathan Road, Prince Edward, Hong Kong Tel: 3702 1678)もオープンし、老夫子ファンの人気を集めている。

 湾仔(Wan Chai)にある香港アニメの聖地・動漫基地(Comix Home Base)では、1月4日に最終日だった老夫子の作品展を翌5日の13時まで延長した。

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