
香港の中環地区で歴史建築なども並ぶ必列●士街(ブリッジズストリート)に10月1日、パスタ専門店「Twist Pasta Bar」(17 Bridges Street, Central, Hong Kong )がオープンした。
香港ローカル有名店にインスパイアされた「Bone Marrow Macaroni」(180香港ドル)
店内のデザインは、Brash Atelierのキアラン・ブラッシュ(Kieran Brash)さんが手がけたが、今回は1940年代後半から1960年代にかけてアメリカを中心に広まったミッドセンチュリーのポップカルチャーにインスパイアされた「温かみのある空間」を作り出した。曲線を生かした家具、レトロなアクセント、ディスコボールのように光を反射するつり下げプランターなどが特徴。席数は30席で、スタンディングエリアでも10人ほどを収容できる。
料理チームを率いるのはヘッドシェフのベン・シアーズ(Ben Sears)シェフ。ベンシェフの料理哲学は、「技術と遊び心、そして記憶に根ざした味わいの融合」。20年以上にわたり、西洋と東アジアのキッチンで腕を磨いてきたベンシェフは、世界各地の食文化を吸収しながら自身のスタイルを築いてきた。
そのキャリアは、オーストラリアの著名レストラン経営者アンドリュー・マコーネル(Andrew McConnell)シェフの下での修業で始まり、英国の3つ星レストラン「L’Enclume」での経験を経て、シドニーでは東アジア料理をテーマにした人気店「Moon Park」と「Paper Bird」を共同経営。パンデミックによる閉店後は、メルボルンの評価の高いワインバー「Public Wine Shop」に参画し、料理とワインのペアリングに磨きをかけたという。
現在は香港に拠点を移し、Twist Pasta Barで新たな挑戦に取り組む。ベンシェフの料理は、イタリアの伝統的な技法をベースにしながらも香港の食材や郷愁を巧みに取り入れた。例えば、香港のローカル食の有名店「九記牛●」のカレーブリスケット麺にインスパイアされた一皿「Bone Marrow Macaroni」(180香港ドル)は、イタリアの伝統的なソフリットと肉の煮込み技法を用いながらも、香港の老舗「冠益華記」のカレーパウダーを使い、茶餐廳の味わいを再現している。
同店では、全てのパスタを店内で手作りしている。北イタリアの卵パスタ、イカ墨や全粒粉、アヒルの卵を使った太くて弾力のあるロングパスタビゴリ、南イタリアのセモリナパスタ、形や食感、色合いにこだわった多様な生地を用意する。
イカ墨のスパゲティ「Squid Ink Spaghetti」(170香港ドル)は、エビ、オレンジ、ズッキーニ、油葱酥(乾燥蝦子)を組み合わせ、海の香りとうまみが広がる一品に仕上げた。
デザートのクリスピーエッグロールカンノーリ「Crispy Egg Roll Cannoli」(60香港ドル)は、40年の歴史を誇る香港の老舗「‘齒來香蛋巻」のエッグロールを使い、リコッタチーズとピスタチオを詰めた香港風カンノーリに。ホワイトチョコレートと豆乳のパンナコッタ「White Chocolate and Soy Milk Panna Cotta」(80香港ドル)は、深水●の「公和荳品廠」の豆腐花にインスパイアされ、イタリア・シチリア産の薬草系リキュール「アヴェルナキャラメル」とかんきつ類のマンダリンで仕上げた。
香港の調味料を取り入れた料理では、塩漬け卵黄と韓国梨のピクルスを使ったサラダ「Endive Salad」(90香港ドル)や、香港の老舗調味料ブランド「八珍醤園(Pat Chun)」が製造する甘酢でマリネしたイチゴとラルドを添えた前菜「Stracciatella」(130香港ドル)などもそろえる。
営業時間は17時~深夜。月曜・火曜定休。
●=口へんに者。●=月へんに南。●=土へんに歩。