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香港故宮文化博物館開業へ 5年の歳月かけ完成、世界有数の文化施設目指す

故宮博物館外観©The Hong Kong Palace Museum

故宮博物館外観©The Hong Kong Palace Museum

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 西九文化区(West Kowloon Cultural District / WKCD)に建設中だった「香港故宮文化博物館(Hong Kong Palace Museum HKPM)」(West Kowloon Cultural District, 8 Museum Drive, Kowloon, Hong Kong Tel:2200 0217)が完成し、7月2日に開業を迎える。

清朝に仕えたイタリア人イエズス会画家によって描かれた絵画「獅子玉」は香港故宮文化博物館で最も大きい作品©The Hong Kong Palace Museum

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 同館は、北京にある故宮博物院が収蔵する書物、陶磁器、像、絵画など186万点の膨大な収蔵品中から、象徴的な文物を一定期間、貸し出す形で展示していく。オープニングのタイミングでは914点の美術品を展示するが、この点数は1925年に故宮博物院ができて以来、中国本土以外では最大規模となる。914点のうち国家第1級のものを166点用意した。これらを一定期間、香港で展示し、その後、北京に返還し、新たに北京から違う美術品を香港に送る流れだ。展示期間は美術品にもよるが、1年ほど展示するものもあれば、非常に貴重なものは1カ月~数カ月しか展示しないという。

 香港の都市環境と中国の歴史的な芸術や建築からインスピレーションを得た建物は7フロアで構成し、敷地面積は1万3000平方メートル、延べ床面積は3万平方メートル。そのうち7800平方メートルの展示エリアには、大きく分けて9つのギャラリーを配置する。紫禁城の水平方向の空間構成を参考にし、各フロアを垂直につないだ。ギャラリー1は、故宮博物館の建築、文化などが分かるものを展示する。ギャラリー2は、清朝の宮廷生活をテーマとし、政治、戯曲、母子関係など、細かく9つの題材に分けて紹介している。6代皇帝、乾隆帝が着ていた衣装なども展示。

 ギャラリー3は陶磁器を中心に展示。新石器時代から清朝まで幅広い時代の陶磁器を並べた。ギャラリー4は、皇帝と皇后の肖像画のエリア。下描きを終え、色をつけ始めたばかりという未完成の肖像画など珍しい作品もある。ギャラリー5は、コンテンポラリーなデザインと古代工芸を併設する形での展示ゾーンとなる。

 ギャラリー6と7は、香港の美術コレクションやマルチメディア・プロジェクトの展示で、何東(Robert Hotung)など香港の実業家などが所有していた中国芸術のコレクションを展示している。ここは香港の関係者から寄贈されたものが中心であるため、北京のローテーションの影響は受けない。地元香港のアーティスト6人の作品なども展示する。コンピューター、プログラムされたマシンなど、実験的な試みをする作品を並べた。

 ギャラリー8と9は「特別展覧」とし、希少価値が高い作品のほか、海外の博物館から貸し出された芸術品を展示する。ギャラリー8は、晉、唐、宋、元朝の書画を並べ、長い巻物に描かれた水墨画などは中国の歴史を感じさせるアイテムとして紹介する。ギャラリー9は、馬に関連した文化や芸術がテーマ。馬は、移動、戦争など当時の人間にとって欠かすことのできない最も重要な動物で、展示では人間と馬の関係をひも解くほか、皇帝が使っていた馬具も並べた。1743年に描かれた絵画「獅子玉」は香港故宮文化博物館で最も大きい作品となる。パリのルーブル美術館からは13点が貸し出され、その中には馬にまたがったルイ14世の銅像もある。

 開館時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。火曜休館。入場料は、標準チケット(ギャラリー1~7)=大人50香港ドル、特別展覧込みのチケット(ギャラリー1~9)=120香港ドル。オープンから3カ月間はネット販売のみで博物館でのチケット販売は行わない。チケットは1人最大4枚まで。

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