現在世界90カ国以上で貧困をなくすための活動をしている世界的なNGOのオックスファムの香港拠点であるオックスファム香港は10月2日、香港の貧困についてのリポート「香港貧窮状況報告2024 逆境下的出路:以轉變迎接改變(Hong Kong Poverty Report 2024: Pathways Out of Adversity -Embracing Change Through Transformation)」を作成した。2024年第1四半期現在で貧困者の数は139万人、人口の20.2%に達するとした。貧富の格差はは81.9倍と状況が悪化している。
オックスファムは香港政府統計処が発表している2019年から2024年第1四半期までの各種データから分析した。
2024年第1四半期の「家庭住戸人口」は689万9,500人で、うち貧困者の数は139万人、率にして20.2%にもなる。貧困の目安としては住戸人数が1人の場合の月収は5,000香港ドル、3人なら1万9,500香港ドルだ。
2024年第1四半期の最貧困層の10%の世帯収入の中央値は1,600香港ドルで、2019年の新型コロナウイルス流行前の3,500香港ドルと比較して54.3%も減少した。一方、最も裕福な世帯の中央値は同12万香港ドルから13万1,000香港ドルに達した。その差は34.3倍から一気に81.9倍と急拡大した計算となる。
香港社会で厳しい点は第1四半期だけで貧困世帯が61万世帯に増加し、全世帯の22.7%を占めるまでになったことだ。2019年と比較すると、単身の高齢者での最貧困層は47.2%増の13万1,700人、2人世帯では同55.3%増の13万2,800世帯だった。
世帯ではなく、65歳以上という年齢で区切った場合の最貧困層の数は58万人で、経済活動をしていない高齢者は同42.9%増の55万8,900人を超えた。香港の高齢者が働いている割合は13.9%で、中国本土の25%と比べるとほぼ半分しか働いていないことも明らかになった。
オックスファム香港は、政府に対して、スクールバスでの学童の世話など、肉体労働が少なく、コンピューターなどのスキルを必要としない高齢者向けの仕事をする機会を公共部門で増やすことを提案している。あわせて、女性の社会進出をさらに促進するため、0~2歳児を対象にした幼稚園が併設された補助金付き託児所の増設し、それに加えてベビーシッターによるサービスの定員数も増やすべきとした。現在香港政府は65歳以上の高齢者に「長者生活津貼」という特別手当を支給しているが、適用基準の緩和を勧めた。