
東九龍地区の新交通整備計画について、同地区を管轄する觀塘区議会が4月28日、新交通システム整備計画での新駅追加について議論した。同地区の鉄道整備計画「東九龍智慧綠色集體運輸系統(Smart and Green Mass Transit System in East Kowloon)」について、香港政府は当初の8駅を9駅に増やす考えを既に示している。将来は慈雲山(Tze Wan Shan)への延伸も視野に入れているという。
香港では1日平均延べ1100万人が公共交通機関を利用しており、市民生活と密接につながっている。路線バス、ミニバスも発達しているほか、地下鉄は路線は年を追うごとに延伸してきたものの、路線網が網羅して切れていない地域もある。
今回の東九龍の路線は、彩虹東(Choi Hung East)から油塘東(Yau Tong East)までを結ぶ7キロの路線で、計画当初は地下鉄を想定していた。しかし、このエリアのほとんどが丘の上にあることから急こう配を上る必要があり、鉄道での輸送が困難であると判断され、別の交通システムで補うこととなった。
そうした状況下で環境に優しい交通システムも求められるようになり、6キロの高架橋と1キロのトンネルで結ぶことになった。彩虹東を起点・終点に、彩雲(Choi Wan)、順利(Shun Lee)、順安(Shun On)、秀茂坪(Sau Mau Ping)、寶達(Po Tat)、馬游塘(Ma Yau Tong)、油塘東の8駅を想定していた。しかし、住民の意見を反映した形で馬游塘と油塘東の間に藍田北(Lam Tin North)を加え9駅にする案が政府から浮上し、運輸及物流局の陳美寶(Mable Chan)局長もテレビのインタビューで新駅ついて言及。このエリアを管轄する観塘区議会でも議論を行った。
これまでは、馬游塘~油塘東間は1キロのトンネルで結ぶ計画だったが、藍田北の駅の建設場所は藍田公園(Lam Tin Park)付近を想定していることからルートが複雑化するため、複数の短いトンネルを建設し、その間に藍田北を建設する。さらに区議会では、将来、必要であれば彩虹東から慈雲山(Tze Wan Shan)まで延伸する可能性についても話し合う可能性があるとした。
運行方法は、軽鉄道(LRT)にゴムの車輪やハンドルを備えている「ART」と呼ばれるものや、バスを基盤とした大量輸送システム「BRT」(鉄道のようにバス数台を連結し専用道路を走行するシステムなど)が候補に挙がっている。陳局長は無人運転にも言及しており、その場合はマカオやゆりかもめで採用されているLRTを採用する可能性もある。
彩虹東と油塘東はMTR彩虹駅(Choi Hung Station)と油塘駅(Yau Tong Station)との接続をスムーズにするため、24時間稼働する「動く歩道」を設置することも想定している。ほとんどの駅は丘陵地帯にあり坂が多いことから、各駅から公営住宅、病院、バスターミナル、学校へ直接つながる連絡通路を設置する考え。
同路線では、MTRが路線建設と周辺開発を一体に行うことも想定している。MTRは近年、不動産開発にも力を入れており、ショッピングモールなどの建設も行う可能性がある。今後、2027年に事業を担当する業者と契約を結び、2033年より前に運行を始めたいとしている。