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セブンズ本場の香港に吉田義人さん来港-7人制ラグビーへの決意語る

7人制ラグビーへの熱い思いを語る吉田さん

7人制ラグビーへの熱い思いを語る吉田さん

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 3日にわたり熱戦が繰り広げられた「香港セブンズ」を熱い思いで見つめた吉田義人さんが3月30日、インタビューに応じた。

 日本代表、世界代表のラグビー選手として輝かしい成績を残し、ラグビーの黄金時代を支えてきた吉田さんは、「僕はオリンピアンにはなれなかった。オリンピックにはスポーツ選手にしか分からない特別なものがある」と、悔しそうな面持ちで言葉を紡ぐ。現在は7人制ラグビー専門チーム「サムライセブン」を率いており、15人制と7人制はグラウンドの広さは同じながらも、人数が半分、1人の守るスペースが違うからこそ「全く違うスポーツ」だと話す。吉田さんは「香港セブンズ」について、自身も過去に選手として19歳で初めて日の丸を背負い出た国際大会が同大会だったと特別な思い入れを持ち、世界のスピードスターたちが集結した衝撃、15人制ラグビーとの違いを体が鮮明に覚えているという。

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 今回の香港セブンズを振り返り、吉田さんは「身体的能力の高い人間が、スピード感をもち、本腰を入れて強化されている。足が速い選手をそろえている」と感想を話す。一方、日本チームは15人制のトップクラスを香港に送り込むことはできず、昨年の昇格決定戦でコアチーム入りを果たしながらも、結果は身体能力の優れるチームに圧倒された。

 非公式でありながらも、大会2日めの28日には、香港ラグビー協会のデイビッド・ダイ・リースさんとの懇親の時を持った吉田さん。香港でも7人制専門の選手を作ることは難しい現状がある一方で、デイビッドさんは「世界的な大会は数年に1回あるが、こうして選手同士が友達になっても会う機会が少ない。しかし、香港には世界のレジェンドたちとこの機会に再会できるという楽しみがある」と話し、吉田さんも同意する。

 現在、日本における問題は15人制、7人制の線引きの前に、そもそもの競技人口の少なさが挙げられる。ラグビーは体でぶつかりあう分、「体が当たって倒れて、血を流すこともあり、自分の娘、息子にはやらせられない」と考える親も多い。身体能力が高い子どもは人気スポーツの野球やサッカーに行ってしまう。

 吉田さんが率いる7人制専門チームには、他の種目からの「競技変更」の選手も目立つ。今回のセブンズで活躍していたアメリカの選手も100メートルを10秒前半で走る陸上競技選手だという。最近ではバスケットボールの選手も考慮に入れて目を光らせ、野球のトライアウトに自ら出向くなど、「人材の宝庫は他の種目にある」と吉田さん。「日本で100メートルを10秒台で走る人は1000人いるが、国際標準記録を満たす選手は現在数人。そういったオリンピックに出ることができない選手たちに光を当てる。アジリティが強く、抜き去る瞬発力をもっていれば、個人競技からの転向でも十分に選手として活躍できる可能性がある」と力を込める。

 32歳まで7人制ラグビーで日本代表キャプテンを務めていた吉田さんは、「7人制が当時オリンピック種目に認定されていたらオリンピックを目指していた」とも。吉田さんは明治大学卒業後、伊勢丹に入社してチームを強くし、明治大学の監督を務めた時も4年間でチームを立て直すとともに、優勝という有終の美で飾るという結果を残し、「弱いものを強くする」スタイル。自らが引き寄せる力となって、ラグビー界に新しい風を吹き込もうと、ぶれずに戦っている。

 ワールドカップは2019年に初めてアジアで単独開催地として日本が決定したばかり。日本は「2019年にベスト8に入らなければいけない」と目標を掲げ15人制を育てようとしているが、7人制にはエース級のトライゲッターが必要だ。

 オリンピックを1年後に控えた今も、7人制ラグビーがオリンピック正式種目になったことを認識していない人もまだ多い。7人制ラグビーセブンズの盛り上げ方の土壌がしっかりとできている香港で吉田さんは決意を新たにしながら、「2016年に向かってメディアで新種目の7人制が取り上げられると、一生懸命やっている人に注目が集まる。そうなると、15人制から7人制のオリンピック選手になりたいという人も現れる」と吉田さんは予想している。

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