香港国際空港(HKIA)を管理する機場管理局(AA)が整備していた第3滑走路の供用が11月28日に始まった。これにより、2035年には年間1億2000万人の乗客と1000万トンの航空貨物が処理できるようになる。物流のハブとしての香港の地位をより強固にするものと期待されている。
旧啓徳空港から現在の場所に移転し、1998年開港したHKIAは香港の空の玄関であり、乗り換えをする空港でもあり、航空貨物のハブとしての香港経済に大きな役割を果たしている。これまでに何度もイギリスのサービス調査会社のスカイトラックスが毎年発表する世界空港ランキングで何度も1位に輝いた実績を誇ってきた。
開港から25年以上が経過し少しずつ老朽化してきたほか、ライバル空港も新空港を建設し、HKIAの発着キャパシティーも徐々に限界に近づいてきたことから、新しい滑走路、施設のアップグレードなどの必要に迫られていた。
そこで2011年に「香港國際機場2030規劃大綱(Hong Kong International Airport Master Plan 2030)」を策定しHKIAの大幅な機能拡張工事を始めることになった。
その一つが第3滑走路。総事業費は約1,415億香港ドル、全長3800メートル、幅60メートル、路面の厚さ1メートルにも及ぶ5層構造となっている。現在の滑走路の北側の海をビクトリアパーク34個分に相当する650ヘクタール分埋め立てる形で2016年8月に着工した。滑走路自体は2021年9月に竣工し、飛行機の離着陸やターミナルへと誘導する1万4000個の滑走路灯などの付帯する工事を行ってきた。今年9月には試験飛行が成功したほか、飛行機事故を想定した救助訓練の実施、システムが正しく機能しているかどうかの確認作業などを行ってきた。
逃亡犯条例改正案に伴うデモやコロナ禍の影響を受けていない2018年4月1日~2019年3月31日のHKIAのデータを見ると、利用者数は7510万人、発着数は42万8870回、航空貨物の処理が506万トンだった。HKIAによると今回の第3滑走路の開設により、2035年には利用者数は1億2000万人、貨物処理量は1000万トンにまで引き上げられると試算している。AAは就航都市数を増加させる努力をしており、2024年9月の時点で8航空会社、11路線が追加された。
現在リニューアル工事中の第2ターミナルは2025年末に一部をオープンさせたい考えだが、人手不足に悩まされており、計画通りに進むのかは不明。第2ターミナルと第3滑走路の間には巨大な平らな土地も造成しており、そこには広さ28万3000平方メートルのY字型のコンコース「新?道客運廊(Third Runway Concourse/TRC)」を建設し、57機が駐機できるようになる。将来は第2ターミナルとTRC(約2.6キロ)を結ぶ列車を2分半間隔で運行するほか、この列車とほぼ並行して預け入れ荷物専用の輸送システムも建設する。