「香港芸術館(HKMoA)」(10 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon)で1月17日、フランスのオランジュリー美術館とオルセー美術館の所蔵作品からセザンヌとルノワール作品を中心に展示する企画展「塞尚和雷諾阿的世界ー法國橘園美術館及奧賽博物館珍藏展(Cezanne and Renoir Looking at the World - Masterpieces from the Musee de l’Orangerie and the Musee d’Orsay)」がスタートした。
同展は、印象派の作品を所蔵する両館の作品の中からフランス印象派の巨匠、ポール・セザンヌとピエール=オーギュスト・ルノワールの作品に特化した香港初の大規模な展覧会で、香港初公開の作品がその大半を占める。
16日に行われたオープニングセレモニーで、ロザンナ・ロー(羅淑佩)文化スポーツ観光長官は「香港でフランスの国宝である作品を展示できることを喜ばしく思う。この展覧会は東洋と西洋の文化交流の証しであり、香港とフランスの協力関係、昨年開催された世界初の印象派展150周年へのオマージュとしても位置付けられる」とあいさつ。康樂及文化事務署(LCSD)が今年3月下旬に開催される「第4回ミュージアムサミット」で、フランスの美術館「ギメ東洋美術館」と提携する企画があることも付け加えた。
ルノワールの作品における光と影の使い方は、「印象派の発展に極めて重要な役割を果たしている」という。一方、セザンヌの芸術理論は、20世紀におけるさまざまな芸術スタイルの発展の基礎を築き、近代芸術という新しい時代に導いた。展示は2人のキャリアの交差点に焦点を当てた内容に仕上げている。
果物や花を描いた静物画、風景画、肖像画、水浴画など、52点のうち51点を香港で初公開する。 ハイライト作品は、セザンヌの「りんごとビスケット(Apples and Biscuits)」、「スープ入れのある静物(Still Life with Soup Tureen)」、「赤い屋根のある風景あるいはレスタックの松の木(Landscape with Red Roof (The Pine at l'Estaque)」、ルノワールの「ピエロの衣装を着た クロード・ルノワール(Claude Renoir in Clown Costume)」、「風景の中の裸婦(Nude in a Landscape)」、「桟敷席の花束(Bouquet in a Theatre Box)」などが見どころ。スペインの画家パブロ・ピカソの作品「円テーブルのある大きな静物(Large Still Life」」など2点のピカソ作品も展示し、「2人の印象派の革新性がいかに次世代の巨匠たちにインスピレーションを与えたかも示している」という。
フランスの列車のホームを模した教育コーナーも設け、来場者が両芸術家の世界に浸れる仕掛けも用意した。2人の巨匠の会話を模した特別デザイン、足跡マップなども展示している。
併せて、トレバー・ヨン(楊沛鏗)さんとライ・クワンティン(賴●●)さん2人の香港人アーティストを招き、2人の巨匠の作品からインスピレーションを得て独自の新しいアートを創作。写真作品と大型のソフトスカルプチャーによるアートインスタレーション「Garden Cruising: Bathers and Watchers」では、楊さんがセザンヌの水浴画シリーズにおける裸体描写にまつわる視線のアイデアを探求している。空間における自然と人工物の区別を曖昧にし、観客の環境に対する理解を混乱させ、異なる知覚の方法を活性化させることを意図したものだという。2人の巨匠の静物画や肖像画からインスピレーションを得た賴さんのインスタレーション作品「Everyday Whispers」は、中国の伝統的な細密画のスタイルで人物画や静物画を制作し、日常生活のつかの間の瞬間を捉えている。
展覧会と連動して、同館は印象派に対する一般の理解を深めるため、専門家やアーティストによるトークシリーズを含む一連の特別プログラムも企画。演劇的アプローチやワークショップのほか、シアター・ツアーも複数回開催する。
入場料は、通常チケット=50ドル、学生・障害者(+付き添い1人)・60歳以上の高齢者=25ドル。チケットは、7日前まではURBTIX各店、HKMoA、その他の指定場所のセルフサービス・チケッティング・キヨスクで扱う。5月7日まで。
●●=竹かんむりに均、女へんに亭。