「花開富貴(花が開くように富に満ちあふれ、金持ちになれる)」という言葉があり、旧正月を前に花を買う習慣がある香港で、1月23日、毎年恒例の「年宵花市」が各地でスタートした。
1月29日(旧正月初日の早朝)まで7日間、開催される。香港島はビクトリアパークの「維多利亞公園年宵市場」のみの開催だが、九龍地区は旺角界限街花墟公園、觀塘遊樂場、黄大仙の慈雲山邨中央遊楽場など4カ所、新界地区は沙田源禾遊樂場、元朗の東頭工業区遊楽場●灣沙咀道遊樂場など9カ所、離島は東涌達東路花園の開催となる。
香港の年宵花市の歴史は19世紀末に始まり、時代の変遷とともにその形態を変えながらも、地元住民の文化と生活に深く根付いてきた。1898年に中環街市周辺で始まったといわれ、当初から家庭用品や花、食べ物、玩具、アンティークなど多種多様な商品を取りそろえ、多くの人々が旧正月の準備を楽しむ場となった。交通の混雑や社会情勢の影響を受けながらも、政府は市場の場所を湾仔や九龍などに移し、規模や設備を調整し続け、戦後の復興期を経て、1950年代には銅鑼湾や旺角、そして最終的に1960年に現在のビクトリアパークに定着した。
今年開催される15カ所の花市の中で、最大規模は銅鑼湾のビクトリアパークの花市で、391の屋台と4つのファストフード屋台が登場する。元朗の東頭工業区遊楽場と●湾の沙咀道遊楽場の規模がそれに続き、それぞれ148と126の花や旧正月関連商品の屋台が設けられた。花以外にも、旧正月食材、四字熟語の願い事が書かれた短冊「揮春」、来る年の幸福・豊作・金もうけなどを願って貼る「年画」、旧正月グッズ、装飾品などを販売する屋台も設ける。「乾貨」ブースには、おもちゃ、グッズ、文房具や飾りなど約200アイテムが並ぶ。販売価格は最終日に向けて徐々に安くなっていく。大学生や専門学校生などによる学園祭のようなブースも多く、大声で呼び込みをするのも風物詩だが、風船やぬいぐるみのほか、巳(み)年のため、蛇のかぶり物なども目立つ。
花にはそれぞれ意味があり、会場で一番目立つコチョウランの鉢は3株で100香港ドルの低価格のものから、600香港ドル~1,200香港ドル程度が中心で、さらに大きな鉢になると2,000香港ドル以上の鉢が並ぶ店もある。コチョウランは「幸福の到来」を表し、多くの扱いがある「菊」は「長寿」「吉祥」を意味するという。
家のテーブルの上に置かれることが多い「水仙花(ソイシンファ)」は香りがあるため、「新年の幸運。お金をもたらしてくれる」という意味がある。つぼみや花の数で価格が決まる。
恋愛運として位置付けられるのが「紅桃」で、木をバケツに挿して販売する区画もある。桃には恋愛運を上げるいわれがあるが、鴻圖(ホントウ)と発音が似ていることから、「人や財産との縁をつなぐ」とも考えられている。
レモンのような黄色い植物「五代同堂(ツナノス)」は黄色い実が特徴で、5世代にわたる繁栄を表すといわれ、子孫繁栄の象徴として捉えられている。カラフルな菊の花「富貴菊」も並ぶ。
ビルの入り口には「金桔(キンカン)」の幹を刺した鉢が並ぶことも多い。お金を表す「金」、「吉」と同じ音の「桔」が名前に入り、縁起のいい植物「金桔(キンカン)」は1メートル以上にもなる幹にたくさんのオレンジ色のキンカンがなっている。
ほかにも、「幸福の竹」ともいわれる縁起の良い観葉植物「富貴竹(フーグァイジョッ)」のほか、日本でいうネコヤナギ「銀柳」は赤・黄・青・白など色鮮やかに切り花として販売している。
開催時間は、23日・24日=8時~24時、25日~27日=8時~翌1時、最終日の大みそか(28日)=8時~翌7時。入場無料。
●=草かんむりに全。