
日本最大級のフリマアプリ「メルカリ」は5月7日、香港市場に向け、ユーザーが「メルカリ」に会員登録し、日本で出品された商品を購入できるウェブ版「mercari(メルカリ)」のサービス提供を始めた。これにより、香港の消費者は購入代行サービス「Buyee」などを介さずに、メルカリ上の商品を閲覧・購入できるようになる。
同社は2019年に越境取引を始め、4月時点では74社の越境EC事業者と提携して約120の国と地域に商品を提供しており、購入代行サービス経由の取引を中心に越境取引を大幅に拡大してきた。
香港はこれまで、購入代行サービス「Buyee」を介したメルカリの越境取引では取引金額・取引件数共に4位となっており、既に取引が活発な市場と認識。加えて、香港はeコマース取引の約25%を占める越境取引において日本との取引が中国・米国に次ぐ3位となっていること、2024年の訪日外国人客数の人口分布に対する割合が国・地域別で1位となっていることなどから、日本の商品が受け入れられやすい市場であるとして、ウェブ版「メルカリ」のサービス提供が決定した。
同社は昨年8月から台湾市場でウェブ版「メルカリ」を繁体字名「美露可利」としてサービス提供しており、今年3月時点では登録者数は既に20万人を超えている。メルカリは、より多くの国・地域の消費者に利用してもらうことを目指しており、香港は台湾に次ぐ2カ所目のサービス提供先となった。
もともとメルカリは2013年に日本でサービスを始め、月間利用者数は国内で2300万人を超えている。匿名配送や決済仲介機能を持つ点が特徴で、取引時に出品者・購入者の個人情報が開示されることはなく、未着や不備があった場合の補償制度も整備している。一方、香港における主なフリマサービスは運用スタイルが大きく異なる。 香港で広く利用されているサービスの一つが「Carousell(カルーセル)」。カルーセルはシンガポール発のサービスで、取引の多くは対面での商品受け渡しと個人間決済で行われており、配送や決済に対するプラットフォームの仲介機能は限定的となる。
Facebook ユーザーが利用できるFacebook Marketplaceも個人間売買の手段として多く利用されている。こちらも同様に、プラットフォームの仲介機能は限定的で、ユーザー間のコミュニケーションが中心。直接のコミュニケーションが多いことからトラブルが多く発生している現実もあり、 このようなスピード感と柔軟性に特徴がある他の個人間取引プラットフォームと比較すると、メルカリが提供する配送・決済を含む一体型の匿名取引のスタイルは、安全性や確実性の高さが鍵となる。
これまでBuyeeを介したメルカリの越境取引状況から、香港市場は他の国・地域と比較して平均取引金額が高いこと、キャラクターグッズの取引割合が高いことが特徴として挙げられる。今回の香港におけるウェブ版「メルカリ」では、アプリ内の言語は繁体字または英語、価格表示は日本円または香港ドルで表示設定が可能。日本から日本語・日本円で出品された商品でも抵抗感なく直接購入できる仕組みを整える。
サービス提供開始を記念して5月14日まで、メルカリで初めて購入したユーザーにクーポンを配布する。