
ヨウジヤマモトが8月1日、香港のK11 MUSEAで初のポップアップイベント「WILDSIDE YOHJI YAMAMOTO Hong Kong POP-UP」(GOLD BALL 2/F, K11 MUSEA, 18 Salisbury Road, Tsim Sha Tsui, Hong Kong)をスタートした。
同ポップアップでは、香港での限定Tシャツ4型のコレクションや、香港の伝統的ブランド利工民(Lee Kung Man)とのコラボレーション、天野タケルさんのペインティングなどを販売する。
WILDSIDE YOHJI YAMAMOTOはコンセプトカラーの黒を軸に、「アート、ライフスタイル、コラボレーションを融合させることで、ファッションの境界を再定義している」という。これまで、多様なブランドやアーティストとのパートナーシップによる限定コレクションを発表してきた。
今回は香港限定のTシャツコレクション4型に加え、香港の老舗肌着メーカー「利工民(Lee Kung Man)」とのコラボレーションアイテムが目玉として登場。利工民の商品は、丸首やヘンリーネックの肌着で、糸の打ち込み本数が通常のTシャツの3~4倍以上で、「軽くて肌触りが良く、耐久性にも優れている」という。袖口にリブが入った独特のデザインで、ブルース・リーが映画「ドラゴン危機一発」で着用したことでも知られ、チャウ・シンチー(周星馳)やチョウ・ユンファ(周潤發)など香港のスターたちにも愛されてきた。
利工民は1923年に馮●如によって広州で創業され、数年後に香港へ移転。以来、100年以上にわたり香港製造にこだわり続ける肌着ブランドとして、地元住民に親しまれてきた。同ブランドは「金鹿」「籃鹿」「光華」「秋蝉」など複数のラインを展開しており、最も高価なのが「金鹿」。今回のコラボでは、この「金鹿」シリーズをベースに、ヨウジヤマモトの前衛的なデザインを融合させた。肩部分に白のラインを施し、ゆったりとしたシルエットと手仕事による仕上げが特徴となっている。
利工民は現在も品質管理のために製造工場を香港に残し、上環・湾仔・上海街・深水●の4店舗を経営。伝統的な製法を守りながら、若者層へのアプローチも積極的に行っており、過去には日本発のストリートブランド「INCREDIBLE」とのコラボで藍染め仕様の限定シャツやエコバッグを販売。ブルース・リー生誕81周年記念イベントでは、銅像に利工民製のTシャツを着せる演出も話題となった。
今回のポップアップでは、「香港の伝統と日本の先鋭的な美学が融合した」という限定アイテムを並べるほか、日本人アーティスト・天野タケルさんによるアートインスタレーションも展示。利工民の100年の歴史とクラフトマンシップを、現代のファッションとアートの文脈で再解釈する試みとなっている。もともとメード・イン・香港の商品がない中、香港製造の象徴ともいえる利工民が、国際的デザイナーズブランドとの協業を通じて新たな価値を創出する同イベントに注目が集まる。
営業時間は11時~21時。期間は8月24日。
馮●如=草かんむりに糸と寸。深水●=土へんに歩。