
東京発の焼き鳥ブランド「鳥かぜ(TORIKAZE)」(43-45/F, FORTY-FIVE, Gloucester Tower, Landmark, 15 Queen's Road TEL 3501 8585)が10月20日、中環の香港中環の高級商業施設LANDMARK内「Forty-Five」44階(受付=43階)にオープンした。
焼き鳥職人・池川義輝さん率いる「TORIKAZE」が展開する日本の焼き鳥文化を世界に広める「Torishiki ICHIMON」グループ店として、香港初出店となる。香港の運営はLeading Nationが手がける。
池川さんは2007年に東京・目黒で「鳥しき」を開業し、2011年にミシュラン1つ星を獲得。以来、ニューヨークの「Torien」や京都の「Torisaki」など、国内外で13店舗を展開してきた。香港店では、池川さんの弟子である松井亮さんが料理長を務める。
同店の焼き鳥は、紀州備長炭を用いた高温・短時間のじか火焼きが特徴。素材のうまみを最大限に引き出すため、部位ごとに火入れや味付けを調整する。焼き台を囲む16席のU字型カウンターを設け、職人の手仕事を間近で体感できるようにした。使う鶏は地元産の「三黄鶏」や日本から輸入した希少部位などで、これを池川さんの哲学である「一串一生」に基づいて提供していく。これは、一本の串に全神経を注ぎ、二度と繰り返せない瞬間として提供する姿勢を表すという。
店内は、炭で焼いた木材壁や和紙の障子、陶器の床など、火と土の素材を生かしたしつらえ。紀伊半島のウバメカシを2週間かけて焼き上げた備長炭の香りが漂う中、炭火の音や光が「食欲を刺激する」ような演出も施す。個室2室も設け、6人までのプライベートな会食にも対応する。空間全体で五感を刺激する設計にし、焼鳥焼き鳥を単なる料理ではなく、体験として提供する姿勢が随所に表れている。
ランチは定食スタイルで、価格帯は350~480香港ドル。代表的なメニューには「親子丼」(350香港ドル)、柔らかい鶏肉と半熟卵をふんだんに使い、甘辛く味付けした鶏そぼろ丼「鶏肉碎丼」(380香港ドル)のほか、7種の串と白米のセット「七味●鶏肉飯」(480香港ドル)、白湯(ぱいたん)スープに細麺を合わせた「鶏湯素麺」(380香港ドル)などがある。季節ごとにメニューを変え、旬の食材を生かした構成を意識するという。
ディナーは「廚師發●(おまかせコース)」(780香港ドル)が中心。希少部位や季節野菜を織り交ぜた構成で、代表的な串には、希少部位であるもも肉の一部「ソリレス」には独特の火入れで仕上げ、ふんわりとした鶏団子に特製タレを絡めた「つくね」、濃厚な味わいを塩で引き立てる「鶏レバー」、香ばしく焼き上げた弾力のある「ネック」、旬の野菜を炭火でじっくり焼き上げる「季節野菜串」などを並べる。
コースの途中には、「鶏白湯スープ」「鶏ラーメン」「特製おむすび」などの限定追加メニューも提供するほか、アラカルトでの注文も可能で、好みに応じて串を選ぶことができる。これらの串も全て備長炭で焼き上げる。池川さんは「ミシュラン星は目的ではない。『一度は行ってみたい』と思われる店こそ価値がある」と話す。
営業時間は、ランチ=12時~15時、ディナー=18時~23時(18時~と20時30分~の2部制)。日曜定休。
●=火へんに考。●=辛へんに力に辛。