かつて香港映画やドラマの舞台となることも多かった旧油麻地警察署で1月2日、没入型体験を伴う企画展示「油麻地警署光影之旅」が始まった。主催は文化體育及旅遊局轄下文創産業發展處で、前日1日には開幕式も行われた。香港映画文化と観光資源を結びつける新たな取り組みとして盛り上げていく。
旧油麻地警署は戦前に建てられた歴史建築で、長年にわたり香港の警匪映画やテレビドラマのロケ地として親しまれてきたが、初代油麻地警察署は1873年、油尖旺区の上海街と衆坊街の交差点に設立された。当時の上海街は「差館街」とも呼ばれたが、1922年に広東道へ移転し、1924年に「九龍巡理府」と改称、1936年に使用を停止した。
戦後には新棟や宿舎が増築され、1988年に三級歴史建築物、2009年には香港二級歴史建築物に指定された。昨年末に開通した中九龍幹線建設計画により解体の危機に直面したが、保存を求める声も多く、現地保存が決定された。2016年に新油麻地警察署が完成後、旧警察署は油麻地通報センターとして利用されてきた。
1922年建設の旧棟は、半円形ポーチやアーチ廊を備えた英国エドワード朝様式を基調としたコロニアル建築で、白い外壁も特徴。九龍最古の警察署として地域の発展を支えた。
旧油麻地警察署の一般開放は、観光スポット開発作業部会が昨年5月に発表した政府観光スポット開発作業部会の重要プロジェクトの一つとして展開される。同展は「九龍城寨 光と影の旅」に続く香港映画をテーマとした観光スポット第2弾で、映画関係者による名場面の再現や貴重な小道具の展示を通じ、警察物の映画が映し出す都市の記憶と香港映画文化の魅力を体感できる内容に仕上げた。
会場では、アンディ・ラウ(劉徳華)さんやトニー・レオン(梁朝偉)さんなどが出演した警察映画の名場面をデジタル処理し上映する。内部に進むと、1970~80年代の雑差房(警察署内の雑務室)を再現した空間など、映画に登場した警察署内の様子を等身大で再現した。コピー機、赤い糸で人の写真をつなぐ相関図、ピストル、コンピューター、デスク、犯人の似顔絵作成の様子など、警察映画に登場するアイテムなどにも実際に手を触れながら、鑑賞することができる。
初公開となる羈留室(拘留室)を一般開放したことも特徴で、他にも背景に身長計測線を背景に犯人風の記念写真を撮ることもできるマグショット撮影コーナーも用意し、来場者は没入型の体験を通じて、香港警匪(刑事・犯罪)映画の名場面や文化的背景に触れることができるようにした。
さらに、「英雄本色(A Better Tomorrow)」「逃學威龍(Fight Back to School)」「竊聽風雲(Overheard)」「無間道(Infernal Affairs)」などから好みの映画作品を選び、AI技術を使って自分を主人公として登場させることができるポスター作製マシンなどで楽しむこともできる。
香港政府の卓永興・政務司副司長は開幕式で、「香港映画の専門家の協力により、展示は大きな魅力を備えた。訪れる人々に忘れられない体験を提供できる」と謝意を述べ、「香港の映画文化と観光を融合させ、香港の文化・観光体験を豊かにすると同時に、地域経済の活性化を図りたい」と意気込む。
同展の開催に合わせ、油尖旺民政事務処は油麻地街坊会と協力し、2月22日まで「油麻地グルメ&ショッピングフェスティバル」を実施する。期間中は飲食や買い物の特典などを用意し、展覧会来場者は入場証明提示により追加割引を受けることができるという。
入場料は30香港ドル。学生・60歳以上・障害者は10香港ドル。事前予約制で、1回25分・最大20人の制限あり。