国際自動車連盟(FIA)は10月9日、1年後の2016年10月9日に全て電気駆動のフォーミュラカーであるフォーミュラEを香港・中環で開催すると発表した。最高速225キロまで出せる新世代レーシングカーの高速バトルが香港の中心部で繰り広げられることになった。
フォーミュラEとはF1などを主催しているFIAが行っているレースで2014年から始まった。今年は10月24日から2シーズン目が北京で始まり2016年に11戦目のロンドンが最終戦となる(日時はまだ未定)。優勝25点、2位18点…10 位(1点)までポイントが与えられるほか、予選のトップであるポールポジションに3点、ファステストラップ者(レース中の最速ラップ)に2点が与えられる。11戦の中でベスト10戦のポイントの総合得点でチャンピオン争いを行う。
コースは龍和道(Lung Wo Road)の東向き車線の人民解放軍本部前近くをスタート/ゴール地点とし、添華道(Tin Wa Avenue)手前で180度折り返し(1コーナー)、龍和道を西向き車線555メートルの直線の後、IFC手前の民耀道(Man Yiu Street)との交差点で90度右ターンし(2コーナー)、スターフェリーのあるふ頭などを経由して戻って来る全長2キロのテクニカルなコース。
全10コーナーあり最大の追い抜きポイントは2コーナーになりそうだ。2コーナーで2台がもつれて進入した場合は次のシケイン状の3コーナーまでバトルが見られる可能性もあると予想され、追いかける車が第9コーナーを抜けてからうまく前車との間合いを詰めることができれば1コーナーでも状況によっては追い抜き可能と予測される。最高速度は225キロとしているが、観客とコースが近く、迫力満点のレースとなる。ピットレーンは以前に「Cavalia」や「茘園」が行われたハーバーフロントに設置される。
レースはマシンを乗り換えるためのピットストップが義務付けられている。公式サイトやSNS上でファン投票がレースごとに行われ人気トップ3のドライバーだけは180キロワットから200キロワットの範囲内で100kJのエキストラエネルギーを使えることできるユニークさが特長。これは「ファンブースト」と呼ばれ、モータースポーツの最もエキサイティングなシーンである追い抜きを容易にするエンターテインメント性も考えられたシステムとなっている。
マシンはスパーク・レーシング・テクノロジー社がデザインと製造を手掛けるワンメークのレース。車性能に差がつきにくいためドライバーの実力が反映されやすい。シャシーはダラーラというレーシングメーカー、タイヤはミシュラン、パワートレイン(エンジン)はマクラーレン、バッテリーデザインはウィリアムズ、システムインテグレーションはルノーが担当とF1チームやサプライヤーが数多く技術協力している。今シーズンからはパワートレインについては自主開発が認められチームの技術力も試されることになった。車の大きさは長さが最長5メートル、幅が1.8メートル、高さが1.25メートルだ。パワーは電気自動車で、馬力に換算すると最大で270馬力、決勝は202.5馬力まで制限される。ファンブーストを使うと40.5馬力の追加パワーを使える。
来季の出場チームやドライバーは未定だが、今シーズンは10チームが参加。アメリカの名門レーシング一家アンドレッティ家が率いるチーム、イギリスのコングロマリット、ヴァージングループのチーム、F1で4度のチャンピオンになったアラン・プロストのチーム、日本のF1ドライバーだった鈴木亜久里が率いるTeam Aguri、ほかにも中国、インドのチームなどが出場している。ドライバーも1997年のF1チャンピオン、ジャック・ヴィルヌーヴを筆頭に、セバスチャン・ブエミなど、つい最近までF1に出場していたドライバーが数多くエントリー。シモーナ・デ・シルベストロという女性ドライバーも走る。
チケット発売などの詳細は追って発表される予定。