厚生労働省が7月27日に発表した2015年の簡易生命表によると、香港男性は81.24歳、女性は87.32歳で共に世界一の長寿地域となった。
厚生労働省は香港が世界一になった理由については言及していいないが、香港政府統計処が7月28日に発表した「香港的女性及男性主要統計数字」によると、過去30年間で医療水準の向上と香港市民の健康への関心が高まっていることが、平均寿命が延びた理由と分析している。男性は肥満が多く見られ、女性は痩せすぎの傾向にあるとしている。女性1000人に対して男性931人という男女比のアンバランスも危惧。教育を受ける時間の長さが、社会に進出する年齢が遅くさせ、これが男女の晩婚化を加速。男性の初婚が31.2歳、女性の初婚が29.3歳で初産が31.4歳になったと発表した。
香港の場合、公立病院では香港IDを持っている人であれば、長時間待つ必要はあるものの急患の初診料は100香港ドル、普通科の通常の問診であれば毎回45香港ドル、注射は17香港ドルで受けることができる。大きな経済負担にならないことから気軽に病院に行けるため症状が悪化する前に治療できる可能性が高まる。
近年、香港では生活水準の向上により、ビールやワインを楽しむ人が増え飲酒量が増えたが、日本と比べると家で毎日晩酌をするという香港人家庭は少なく、摂取量は日本と比べると、まだまだ少ない。
長寿の理由にお茶を飲む文化を挙げる人もいるが、これは西洋医学的にははっきりしない。ただ中国文化、中国の東洋医学の観点から見れば、体を冷やさないことは重要で、夏場でも温かいお茶を飲むのが基本。お茶が無理でもぬるま湯、お湯を飲みたいと考える香港人は少なくない。多くの香港人や中国本土の人が自分のステンレスボトルを持ち、それをあちらこちらで飲んでいるのはそのためだ。香港のオフィスなどではウオーターサーバーが設置されているところも多いが、水だけではなくお湯が出るものもあるのは、体を温めた方がよいと考えるから。香港ではステンレスボトル用に「白湯を下さい」とローカルなレストランで頼めば拒否する店は少ない。お茶を含め温かいものを飲む文化は、冷たいものを多く飲む人よりは体の負担が少ないと見られている。
さらに健康への関心の高まりがある。カリフォルニア・フィットネスクラブの店舗閉鎖問題はあるが、スポーツジムやヨガなどは人気があり、日系でもライザップでは顧客を着実に伸ばすなど、健康志向の高まりは強まっている。早朝に公園などに行けば伝統の太極拳をしている人が大勢いる。香港は競争が激しく非常にストレスがかかる社会である一方、日本人と比べて物事をはっきりと述べる性格であるため日本人よりはストレスをため込まないことも長寿の理由として挙げられることも多い。