香港で他のコンクールとは一線を画す「日本香港国際音楽コンクール」の授賞式が7月31日、観塘の基督教家庭服務中心で行われた。同20日、30日、31日の3日を通して実施されたコンクールの受賞者が集まり、各部門1位を獲得した受賞者による演奏が披露された。主催は日本香港音楽協会で今回は5回目の開催となり、在香港日本国総領事館、香港日本人倶楽部も後援に名を連ねる。
同コンクールはピアノ、バイオリン、フルートを学習する人を対象にヤングアーティスト、プロフェッショナルの2部門に分けて実施している。今回も香港人を中心に、日本、台湾、マカオ、シンガポール、モンゴルなどから313人の応募があったという。同コンクールはグループ審査を基本とし、受験者は規定時間内で自由曲を演奏し、それぞれの年齢に応じた音楽性、技術習熟、基本的マナーを審査対象として、絶対評価で審査をするため、技術力だけで競うものではないことも特徴の一つだ。
同コンクールの実行委員長を務めるピアニストの碓井俊樹さんは「香港は選曲のはやりにも毎年動きがあり、今年はピアノでいえばバロックが多かった」と振り返る。「初回と比べると、レベルは飛躍的に高くなり、保護者の意識も変わってきている部分もある」と話し、「グループ審査で他の人の演奏を聴くことを取り入れていることが、演奏会の会場でも雰囲気が変わってきている理由かもしれない」と分析する。
香港では手軽な楽器としてバイオリンを習う子どもが多いが、同コンクールでは現状はピアノ部門への受験者が半分以上と多く、香港内のミュージックスクールを通じての受験生も多い。コンクールでの受賞者がその後ヨーロッパのコンクールでも優勝を果たすなど、一流演奏家へとステップアップしていく様子も伺える。
毎年1位を輩出し、今回も11人の受賞者を出したスクール「GMC Music」の校長リッツォ・チョン(Rizzo Chung)さんは「日本はクラシックへの理解も深くて、このコンクールで受賞できることは意味がある」と話し、「受賞者は日本のコンクールや、東京音楽大学での演奏会に参加できるなど、先がつながっていくこともモチベーションになる」と同コンクール参加の意義を話す。
同コンクールでは、大阪国際音楽コンクール・ファイナルラウンドへの出場権や東京音楽大学の交換演奏会への招待など、他の演奏会での出場権利も授与した。