日本酒も広く浸透してきた香港で8月20日、銅鑼湾のタイムズスクエア裏側の耀華街(Unit1601, 16/F, Barttlock Centre, 3-9 Yiu Wa Street, Causeway Bay, HK Tel : 2333-3320)に日本酒バーを併設する日本酒販売店「Sakelegant(サケレガント)」がオープンした。経営は日本酒の輸出入を手掛ける京都貿易社で、壁に沿って設置した酒専用冷蔵庫に25社約120種類のブランドを並べる。
諸外国と比較して日本酒の浸透度が高いと思われる香港でも、日本酒についてある程度のブランド数の販売権を持ちながら酒蔵と直接取引をしているのは実際数社程度。同社は日本の酒蔵と全て直接取引を行い、輸送、管理に冷蔵コンテナを使い、その後の香港での保管も全て冷蔵で管理する。品質を劣化させず、「日本でしっかりと管理された状態と同じレベルで提供すること」を目指す。自社で輸出から小売り、卸そしてバーも経営することで無駄なコストを排し、その分を品質の管理や販売価格の魅力につなげる戦略だ。同社の井上琢也社長は日本の酒蔵に直接アプローチする中で、「以前は香港に出していた」「海外に出すには管理の部分が心配」という声が多く、そこにビジネスチャンスを感じたという。
併設するバーはカウンターとテーブルを置き、カップルや友人などの少人数で食事後に立ち寄ることができるように設定。日本酒は毎週20種類のブランドを入れ替え、少量から(70ミリリットル=40~100香港ドル、180ミリリットル=110~150香港ドル)提供している。30~50種類の中から無料試飲ができ(1回につき5種類まで)、そこでおいしいと思ったものを購入できるようにした。器も、雑味を無くし高級感を持たせるためにも、富山県高岡市の「能作」が作るスズの酒器をそろえた。
同店でマネジャーを務める香港人の文寶兒さんは、利き酒師の資格も取り、日本酒を香港人に解説する役割を持つ。「香港人にはより具体的なイメージができるような解説を加えることが多い」と話し、ワインの味を説明するように心掛けているという。「さわやか」「まろやか」などの表現よりも、「メロンのような」といった具体的な果物名を挙げて説明することも多い。同店で取り扱う銘柄の一つ「三井の寿 大吟醸」については、「新米みたいな香りもして、味わいは桃のようなフルーティーさもあり、華やかさがある」と表現。
中国語でも取得が可能になった利き酒師の試験では「中国語だとどのように表現しているのかに興味があって、日本酒であれば日本語と思う人も多いかもしれないが、あえて中国語で受験した」と話す。
「日本食のレストランでもまだアプローチできす裾野はあるが、四川料理のレストランが採用してくれたり中華料理にも大いなる可能性がある」と井上琢也社長。秋に向けてはかん酒も提案していくという。
バーの営業時間は18時~24時(販売については随時交渉)。