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香港の九龍城の再開発計画 タイ人街の終わりの始まりになる懸念も

香港でタイの雰囲気が感じられる九龍城周辺の様子

香港でタイの雰囲気が感じられる九龍城周辺の様子

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 城市規画委員会(Town Planning Board)は九龍城(Kowloon City)の再開発計画の中の一つである「啓徳道/ 沙浦道発展計画(Kai Tak Road / Sa Po Road Development Scheme)」について6月3日、地元民と意見交換会を開いた。参加者からは「九龍城はタイ文化が集まる地域ではなくなるかもしれない」と述べるなど危機感が露わにになった。

 香港におけるタイの歴史を見ると、13世紀ごろには5大華僑の1つである潮州系が香港に住み始めたといわれる。一方、タイ華僑は潮州系が多く、1950年代ぐらいから潮州系のタイ女性が九龍城に住む潮州系の香港人男性のところに嫁ぐケースが始まった。1970年代になるとその流れは本格化し、1973年に開店した九龍城を代表するタイ料理店「黄珍珍」も香港に嫁いだタイ女性が開いたものだ。

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 現在は、東西を走る衙前圍道(Nga Tsin Wai Road)を目抜き通りとして、南北周辺にタイに関係するレストラン、マッサージ、スーパーマーケット、CD/DVD、雑貨などが集まる「タイ人街」が形成され、特にタイレストランは95軒ほどあるといわれている。2016年の中期人口統計を見るとタイ人は1万215人が居住するなど、香港社会の中で一定の存在感がある。

 旧啓徳空港(Kai Tai Airport)が閉鎖されたことで、九龍城一帯は、香港中心部にある「最後と言っていいほど超がつ付く」優良な大型開発地区で、香港政府は長年、同地区の再開発の研究を続けてきた。すでにいろいろな開発計画が策定・実施されており、大型客船が就航できる「啓徳郵輪碼頭(Kai Tak Cruise Terminal)」は、既に供用が開始されている最たる例だ。2014年6月には「九龍城市区行進計画規画研究最終報告(Study on Urban Renewal Plan for Kowloon City Executive Summary)」を策定し、事実上の総合的な再開発プランを明らかにした。

 今回の計画は、啓徳道と沙浦道の再整備で、ちょうど富豪東方酒店(Regal Oriental Hotel)の西向かいのエリア。広さは6106平方メートルで、50棟のビルがある。40店舗、371世帯、961人が住み、タイ人が経営する会社は16社あるという。同エリアのビルは旧啓徳空港の関係から高くても6フロアしかなく、築40年以上の建物が多いため、エレベーターが無いビルもある。

 計画では3棟、各38フロアの建物の建設が計画されている。総面積4万8168平方メートル、うち居住面積が4万140平方メートルで810戸の住宅(1940人分)、オフィスと小売りなどの8028平方メートルの高層ビルの建設を目指すとしている。併せて、居住者420台と一般用300台分の駐車場も整備。開発が始まれば8~10年の間で完成させたい意向だ。

 同エリアにはMTR沙田至中環線(Shatin to Central Link)の宋皇臺(Sung Wong Toi)駅ができることから、これまでバス、タクシーでしか行けなかった同地区へのアクセスは格段に良くなる。意見交換会では、代表者がこの再開発が契機となって家賃がさらに上昇することを懸念し、本格的な再開発が始まりタイ人が離れてタイ文化が無くなることのほか、依然として残る潮洲文化の存在も消失するという懸念する声などが出ていた。意見交換会の会場前では再開発に反対する人たちが声を上げていた。

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