香港の、工業ビルも多い觀塘に今春オープンした日本雑貨や食器などを販売する「47日和」(shop A17, 2/F , O2O Mall, Manning Industrial Building, Kwun Tong, Kowloon TEL 5336-9391)が香港若者の間で人気を集めている。
京都の「KIMURA & CO.」の陶器のアイテムも招き猫が人気
同店を開いたエイミー(黄嘉欣)さんは元々、日本旅行雑誌の編集者で、香港での出版業界の先行き厳しい状況が続く中、「これまでの取材を通じて出会った人、モノなどを香港に売りたい」と一念発起して同ブランドを立ち上げた。ロゴには水引をデザインしたリボンを配し、店名の「47日和」には、日本は47都道府県それぞれ個性があり、違いがあることを伝えたいという思いを込めた。多くの商品を200香港ドル程度の手が届きやすい価格設定とし、約300点を並べる。
小さな店がワンフロアに多数集まる工業ビルに店を構える同店の店舗面積は140スクエアフィート。売り場のカウンターや販売の棚には木を使うことで「日本らしさを表現した」という。長崎の波佐見焼、佐賀の有田焼、岡山の備前焼などは皿、マグカップ、茶わんなど普段使いやすいアイテムを中心に扱うほか、日本モチーフの柄がデザインされたはがきやシール、マスキングテープなどのアイテムも並べる。
富山県の「CUSURI紙風船」は富山県で医薬品パッケージを長年印刷してきた印刷メーカー「富山スガキ」が手掛けたもの。エイミーさんが取材で「とやまの薬」は薬の販売のおまけに、子どもが喜ぶような紙風船を一緒に配っていたというストーリーが背景にあると知り、だるま柄も富士山や招き猫と並んで香港で人気があると仕入れた。エイミーさんは1人で直接、メーカーや作家にアプローチし、交渉して香港での販売につなげているという。
47都道府県全てのものを販売したいという思いで付けた店名だが、現在のスタート段階では、その約半分の県の商品を扱う。「最初はお客さまが来てくれるかどうか不安だったが、スタートしてみると、売り切れ商品も続々と出るなど、反応が非常に良い」と安心した様子で笑みを浮かべるエイミーさん。客層は20~30代の若い女性層を中心に、新型コロナ肺炎の拡大によって家にいる時間が長くなったこともあり、ギフトだけではなく自分で使うものとして、何度も店に足を運ぶ客や、新商品の入荷状況をメッセージで問い合わせる客もいる。
人気商品は、その使い方が日本と異なる面もあるという。有田焼の豆皿(158香港ドル)は、有田の特徴的な色使いに金のアクセントがあるものが人気だが、香港ではアクセサリー置きに使う客が多いという。酒器も飾ったり、つまみを入れたりして使う。風呂敷も日本の和柄が入ったものは売り切れたものもあるが、汚れが目立ったり粗末な仕上げが多かったりする壁を隠したいと、包む以上に「飾る」香港人も多いという。
エイミーさんは、それぞれの商品名と説明書きを繁体字で表示することにこだわる。「使い方が分からない商品もこうして丁寧に説明を入れると興味を持ってもらいやすくなる。ちゃんとお客さんに説明したいから」と自身が身に付けた日本語も活用して販売につなげている。「何よりまた渡航ができるようになり、直接香港の人たちが興味を持つものを仕入れたい」と日本への思いを熱く語る。
営業時間は12時30分~21時30分。