香港政府は8月10日、入境規制、情報開示、マスク着用などを定めた8つの条例(第599C章~第599J章)について9月30日まで有効としていた期限を2022年3月31日まで延長することを決めた。また16日、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、バングラディシュ、カンボジア、フランス、ギリシャ、イラン、マレーシア、オランダ、スぺイン、スリランカ、スイス、タンザニア、タイ、トルコ、アラブ首長国連邦、アメリカを8月20日より「B組指明地區(中風險)/Group B specified places (Medium-risk)」から「A組指明地區(高風險)/Group A specified places (High-risk)」に引き上げることを決定した。また、「C組指明地區(低風險)/Group C specified places (Low-risk)」だったオーストラリアもグループBに変更となった。なお、現在グループBに所属している日本に変更はない。
香港は16日現在、累計感染者数が12,037人、死亡者は212人、回復者12,000人、新規感染者はすべて輸入症例の3人だ。一方、ワクチン接種者については、1回目が3,763,669人(55.3%)、2回目も終えた人は2,936,261人(43.2%)となっている。
香港政府は8月9日から「建立抗疫雙屏障」と名付けた防疫措置を実施しており、その中にはワクチン接種完了と一定期間の政府指定ホテルでの強制隔離を条件に香港の居留資格がない人でも香港に入境できるようにした。一方、これまで実施してきた防疫対策は世界中で猛威を振るっているデルタ株の感染拡大を抑えることにも成功しており、今後も継続してしっかり行う必要があるとの観点から、以下の8つについての措置を延長することにした。
(1)香港法令第599C章=中国、マカオ、台湾からの入境者に対する検疫規則、(2)同第599D章=感染症防止のための情報公開に関する規則、(3)同第599E章=海外からの入境者に対する検疫規則、(4)同第599F章=飲食店等に対しての規則、(5)同第599G章=集団についての規則、(6)同第599H章=入境交通機関や李旅行者への規則、(7)同第599I章=マスク着用と公共交通機関に関する規則、(8)同第599J章=特定する人への強制検査に関する規則。
関心の高い日本在住者の香港への渡航については、来港可能であるが来年3月31日までは、隔離措置など検疫に関する措置は継続するため、入境するのであれば599C章や599E章が定めるものに従う必要がある、ということを意味している。
599F章のワクチンバブルに応じて飲食店の各種措置、599G章に関する「限聚令」、599I章のマスク着用と公共交通機関に関する規則などの各種防疫対策は8月18日まで継続することが決まっているが、19日以降も延長される公算が高い。
政府のスポークスマンは「感染状況を踏まえて諸施策を柔軟に運用しやすくするため関連法令の期限延長を行うためのもので、厳格化、緩和、取消など状況に応じて変更する」とも発言しており、今後も入境を含めた各種規制の運用は変更されていくものと見られている。
飲食業界は、ワクチンバブル政策とワクチン接種率が上昇してきたこともあり、かなり客足が回復してきたが、観光業界はこれらの措置によって依然として厳しい状況下にある。香港政府は8月5日に「防疫抗疫基金(AEF)」に3億7,700万香港ドルを拠出することを発表した。10人以下の旅行代理店には5万香港ドル、11人以上の代理店では職員1人当たり5,000香港ドルの補助金を支給するほか、観光バスのドライバー1人当たり3,350香港ドルを給付するなど、観光業界をさらにバックアップすることを決めた。