尖沙咀と尖沙咀東エリアの境目となる漆咸道南に7月28日、日本のかき氷店「Shari Shari Kakigori House 氷屋」(G/F, 83-85A, Chatham Road South, Tsim Sha Tsui, Kowloon)がオープンした。
2か月限定で販売予定の佐賀県のユズを使ったかき氷「SAGA YUZU & LEMON」
2015年に銅鑼灣に1号店、2017年にはセントラルに2店舗目をオープン、今回は6年ぶり、3店舗目となる新店舗となる。尖沙咀店では銅鑼灣本店の敷地面積の約4倍の広さとし、40席を用意した。
尖沙咀は九龍半島南端に位置し、九龍エリアでもっともにぎわいを見せる商業地域で、競うように看板が道路上にせり出し、所狭しと店が軒を連ねる。さまざまな人種の人々が行き交うアジアの混沌(こんとん)を象徴するような街の雰囲気だが、コロナ禍で旅行者を失った街は、一時は多くの商店のシャッターが閉まっていた状況だった。しかし規制緩和後には少しずつ活気を取り戻し、ここ最近は新しい店舗の開店が目立つようになってきた。
同店ではオープンに合わせて、佐賀県のユズを使ったかき氷「SAGA YUZU & LEMON」(110香港ドル)を夏季限定で販売する。佐賀県産のユズをメインに使いながらも、味が単調にならないようにレモンと蜂蜜を調合したシロップ使いバランスを整えた。かき氷の下の部分にはユズ、中身と表面にはレモンの2種類のシロップを使い分け、口に含んだときの香りと味を調整しているという。トッピングは、フワフワに削った口溶けのいい氷にフランス産のチーズを使ったチーズクリームをのせ、氷の中にはバターの香りが豊かなクランブルクッキーをしのばせた。銅鑼灣本店でも同商品を扱う。
「ユズの香りを生かしながらも、さっぱりとした味の印象だけにならないよう、クッキーを使ってバターの香りを加えることで味の変化を楽しめるように考えた」という。初日に訪れた香港人のスノー・チェンさんは「ここ数年、香港ではユズ・フレーバーが人気で、さまざまなユズスイーツを食べ歩いてきたが佐賀県産のユズは初めて食べた。ユズの独特の香りに癒されながら食べられた」と話す。オープン初日から多くの人が行列を作り、来店客の多くが「SAGA YUZU & LEMON」を注文したという。1日で80杯以上を販売する。
同店はかねて、時間をかけて製氷し、空気やカルキなどの不純物が含まれない純水の氷を日本から輸入している。店内での温度管理から削り方に至るまで細かく管理し、提供する氷にこだわってきた。「そのため食べた時に頭がキーンとなるアイスクリーム頭痛が起きないかき氷」だという。日本人店主の武慎吾さんは「ユズが持つ爽やかな香りと、特有の酸味、苦味、甘みのバランスは香港人にとても好評で、使いやすい素材の一つとなっている。ただし分量を少しでも多くすると香りが強すぎるため、その絶妙なバランスの調整が必要。ボリュームのあるかき氷のため、飽きがこないようにレモンを組み合わせ、味に変化をつけた。氷の中にはバタークッキーと一緒にかんきつの香りを閉じ込め、掘り出したときに爽やかに香るように工夫しメニューを開発した」と話す。
営業時間は、尖沙咀店=13時~22時、銅鑼灣店=13時~21時。