香港の中環にある人気ポルトガル料理店「Casa Lisboa」(2/F, Parekh House, 63 Wyndham Street, Central、TEL 2905 1168)が8月、14周年を迎えた。
ポルトガルの祭「Santos Populares」からインスピレーションを受けたメニュー
香港人がポルトガル料理を求めるときマカオを思い浮かべることが多いが、マカオのポルトガル料理はマカオ人によるポルトガル料理の解釈から生まれたメニューであることが多い。マカオで提供されるポルトガル料理は、ポルトガル料理のユニークな特徴と中華料理の技法を組み合わせたものが多く、マカオの地元の味覚の好みに適合して生まれた。こうしたマカオのポルトガル料理とは異なり、同店は香港の人々に「本場ポルトガルの味」を提供してきた。2009年にオープンし、競争激しい香港の飲食市場の中で同じ場所で営業を続けている。
本場のポルトガル料理は地中海文化の影響を強く受けている。強い香辛料やソースの使用は控えめで、代わりにニンニク、赤ピーマン、オリーブオイルを基本的なマリネとしてよく使う。一般的な調理法としては、グリル、ロースト、煮込み、スロークッキングなどがあり、いずれも食材本来の新鮮さ、風味、食感を引き出す調理を施す。「大西洋に面し広大な国土を持つポルトガルは、自然で新鮮な食材を産出する。そのため、風味を調味料に頼ることは少ない」(同店スタッフ)という。
同店で指揮を執るロドルフォ・ビセンテ(Rodolfo Vicentre)シェフもポルトガル中部の都市トゥルケル出身。ビセンテシェフはポルトガルの多くのレストランで修業を積み、伝統的なポルトガル料理とモダンなポルトガル料理の両方を採り入れる。
「Codfish Cakes(タラのフィッシュケーキ)」(35香港ドル)はポルトガルを代表する国民食で、塩漬けにしたタラを乾燥させた「Bacalhau(バカリャウ)」にジャガイモを組み合わせてコロッケのように仕上げ、パセリとガーリックマヨネーズを添えた。同店では、バカリャウの割合を60%に増やし、「かみ応ええのある絹のようなバカリャウの肉の香りを一口ごとに感じられるようにしている」という。
ポルトガルの伝統的な夏のカニ料理「(Sapateira Recheada」(168香港ドル)は、殻から取り出したカニの身をポーチしたカニ料理。調理後カニの身は30分ほど休ませた後、マヨネーズ、タマネギ、セロリと混ぜ、甲羅に詰め、自家製パンと合わせて提供する。
ほかにもアサリ蒸し「Bulhao Pato」(148香港ドル)や、48時間味付けをしたフランス産ウズラ「Piri Piri Quail with fresh tomato, garlic & olive oil molho」(180香港ドル)、タコのガーリック炒め「Garlic Octopus」(185香港ドル)、空気乾燥させたバカリャウと細切りのジャガイモを使う「Bacalhau a Braz」(145香港ドル)、イワシの燻製料理「Santos Populares」(168香港ドル)などを用意する。
「Santos Populares」は、ポルトガルで毎年6月に開催される祭りからヒントを得たもので、この祭りでは、イワシの炭火焼きをトーストにのせて食べるのがポルトガルの伝統的な食べ方だが、同店では、トーストの下にサワードウパンを敷き、その上にパプリカを薄く敷き詰め、「食感と味わいを楽しむように」仕上げる。
メインメニューとしては、一日漬け込み、表面は3時間かけて焼き上げる定番の子豚のロースト「Leitao a Bairrada」(390香港ドル)、パエリアのような炊き込みご飯「Arroz de Pato」 (290香港ドル)を用意した。ご飯を炊くスープは新鮮な鴨の骨で煮込んだもの。鴨肉は手で細かくしてご飯に入れ、黄金色になるまで焼く。
ポルトガル料理を象徴するメニュー「Carne de Porco a Alentejana」(330香港ドル)は、豚肉とアサリのコンビネーションを楽しむメニューで、料理長は豚ヒレ肉をさいの目に切り、パプリカペースト、パプリカ、ローリエ、ニンニク、オリーブオイルでマリネし、豚肉を炒めた後、アサリとジャガイモの角切りを加えてさらに炒め、パセリを加える。
14周年を記念して9月30日まで、ディナータイムのみ、同店特製のレッド・サングリア1杯を無料で提供している。
営業時間は、ランチ=12時~15時(土曜・日曜・祝日は11時30分~)、ディナー=18時~23時(土曜・日曜・祝日は22時30分まで)。