アメリカのコンサルティング会社Mercerが6月17日、世界5大陸226都市を対象に、2024年の駐在員の生活費についての都市別ランキング「Cost of Living City Ranking 2024」を発表し、香港は3年連続で1位となった。東京は前年の30位から49位と大幅に順位を下げた。
ランキングは、住居費、交通費、食料、衣類、日用品、娯楽費など200以上の項目について、2024年3月現在の米ドルベースで比較したもの。ニューヨークの価格基準として調べている。
香港に続き2位となったのはシンガポールで、3位はチューリッヒ、4位はジュネーブ、5位はバーゼルで、トップ5は昨年からの変動はなかった。6位は前年から順位を1つ上げたベルンだった。これで3位~6位はスイスの都市が独占したことになる。7位は前年比で1つ順位を下げたニューヨーク、8位は逆に順位を9つ上げたロンドン、9位は1つ上げたバハマのナッソー、10位は1つ上げたロサンゼルスだった。トップ10のインフレ水準を見ると、前年比3~8%上昇したという。日本は物価高といわれているが、世界的に見れば物価の上昇率はそれほど高くないことが分かる。東京に関しては、円安の進行が順位を大きく下げる要因となった。
香港とシンガポールは不動の1位と2位になったが、その理由について、マーサーは「家賃と交通費の高さに加え、各種グッズとサービスコストの高さも順位を押し上げた」と分析する。香港はコロナ禍が収束した現在、経済的に好調とは言えないが、同社調べによると、そうした環境下でも香港の不動産価格は前年比で8%増加している実態がある。
調査では、卵など6項目の具体的な事例も提示。それよると、香港は卵1ダースの価格は前年比で13.7%上がった。オリーブオイル1リットルの価格は同25.4%増、コーヒーエスプレッソ1杯は0.5%増、ガソリン1リットルは同7.2%、男性用の青色のジーンズは0.0%、女性用シャンプーとヘアカット・スタイリングは同4.8%増となった。オリーブオイルで言えばブエノスアイレスは前年比694%上がるなど、世界には強烈な物価高に見舞われた都市もあることから、それに比べれば香港のインフレ具合は、比較的マイルドだったともいえる。
同じマーサーが2023年に発表した生活の質のランキングでは、香港は241都市の中で77位となっており、アジア最上位だったシンガポールの23位に差をつけられている。今後、生活の質を向上させないと駐在員にとっては生活しにくい、または魅力に欠ける都市になってしまう可能性がある。