ミュージアム「一新美術館(Sun Museum)」(G/F & 1/F, Artisan House, 1 Sai Yuen Lane, Sai Ying Pun )が10月2日、香港島の西營盤駅B3出口からほど近い西源里にオープンした。
ミュージアムオフィス、カフェ、ギフトショップなども併設した建物
香港島の西部にある西營盤(Sai Ying Pun)エリアはもともと古い歴史が残る街であり、西洋風の建物は現在文化遺産として保護されているものもある。最近ではアートの街としての側面もあり、ストリートアートなどで街を盛り上げる取り組みが展開されてきた。同地域は坂も多く、MTR西營盤駅を降りると、出口まで5分~10分くらい地下道を歩く必要がある。この道すがらにも、いろいろなアートを施し、通行人の目を楽しませ、観光で立ち寄る人たちもいる。
もともと觀塘でも施設を持ち、9年間運営をしてきた同館は非営利の独立系美術館。1年間の準備期間を経て、西營盤を一般公開した。2フロアにまたがる会場の総面積は6000平方フィートで、3600平方フィートの1階は展示ホールで、2つの棟に分かれている。天井の高さは3.5メートルで、大きな作品を含む約60点の作品を多目的に展示することができる。このホールはセミナーや講演会の会場としても使うことができる。ミュージアムオフィス、カフェ、ギフトショップなども併設し、新会場の特別にデザインされたカフェでは、ワークショップやサロンイベントが開催される予定。ギフトショップでは、アート作品を一般向けにキュレーションし、日常生活にアートを浸透させることを目指す。今後、リサーチや教育目的のために美術書をそろえたライブラリーも近々開設する計画もある。
オープニングを飾る最初の展覧会「西源里選畫」10月4日に始まり、来年2月16日まで開催。92人の香港人アーティストによる132点の作品を展示するが、2期に分け、前半は44人のアーティストによる66点の絵画を展示。インク、アクリル、木炭、岩絵の具を使った作品が含まれる。第2期は12月19日から最終日まで、油彩、水彩、パステル、マーカーペンによる作品を含む48人のアーティストによる66点の絵画を展示する。
初回の展示には香港の街並みをモチーフにした作品も多い。かつての九龍の街並みであった飛び出し看板やスターフェリー、バス、升の目のような密集する集合住宅など、香港らしい風景がアーティストのさまざまな手法によって描かれた作品に香港人アーティストたちの思いが込められている。
一新美術館の創設者である孫燕華(クロエ・スエン)博士は「この新拠点は、よりエキサイティングな展示や活動を皆さまにお届けするための拠点であると同時に、文化芸術コミュニティーの発展をサポートし続け、地元のアーティストに才能を披露する機会を提供する場所。当館で人々が美術展を楽しんだり、本を読んだり、コーヒーを飲んだりすることで、自分自身をリラックスさせ、インスピレーションを得ることができる、市民のための聖域になれれば」と話す。
開館時間は10時~18時。月曜・祝日休館。入館料無料。