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香港デザイナーと日本のものづくり企業のコラボ商品展示

12月5日~7日、デザイン展示会「Design Inspire」が開催され、香港のデザイナーと日本ものづくり企業が共同で商品開発を試み、その製品を展示した

12月5日~7日、デザイン展示会「Design Inspire」が開催され、香港のデザイナーと日本ものづくり企業が共同で商品開発を試み、その製品を展示した

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 香港コンベンション&エキシビションセンターで12月5日~7日、デザイン展示会「Design Inspire」が開催され、香港のデザイナーと日本ものづくり企業がコラボ開発した製品を展示した。主催は香港貿易発展局で、コロナ禍後初、4年ぶりのリアル開催となった。

障子を作る中井産業は香港のプロダクトデザイナーと共に照明器具を開発

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 日本からは日本建築材料協会 (JBMA)が率いた7社が出展。過去にも日本企業が出展することはあったが、今回は香港と日本でビジネスを展開する盛世匡さんが「建材だけを見せたり、日本の売れているものだけを持っていったりするのではなく、もう少しマーケットインしやすい香港・中国市場に踏み込んだ製品を持っていこう」と企画を持ち込み、日本のものづくり企業と香港のデザイナーによるコラボ商品開発にまで発展した。具体的には香港から5人のデザイナーや建築家を選び、日本企業と「見合い」をさせる形で、面接、提案から日本への訪問、さらには工場見学などをアレンジしたという。

 障子を作る中井産業は香港のプロダクトデザイナー、エリック・トン(唐宇行)さんとテーブルランプなどの照明器具を開発。障子を使うものをテーブルに置くランプに使う発想がユニークで、中井産業がもともと障子に加え組子なども手がける企業であることから、ものづくりを生かした「微細な」製品ができた。障子の縦の桟(さん)が二重になっており、少し回すことで光の通る隙間の幅が変化し、光の量が調節できる商品を考案した。

 平田タイルは香港の建築家デニス・チャン(張凱●)さんと共に、日本の多治見焼を使って、香港のビルの密集、影などを表現しようとタイル製品「KAGE」を生み出した。各タイルはさまざまな灰色のモザイクで、「雲がかった都市生活の複雑なテクスチャーを反映した」という。うわぐすりなしの素焼きで、「テラクル」というリサイクルタイルを使っているのも特徴。併せて、「ORI」という作品も用意し、「都市に移りこむ色として、空、海などをイメージし、深みを香港の色味と捉え、青いタイルをともにデザインした」という。

 ドアハンドルなどを製造するユニオンは、香港のエドモンド・ウォン(黄澤源)さんからの提案により、衛生器具、具体的には香港のバリアフリートイレに注目。香港では一般的に商業施設やオフィスにもバリアフリートイレの設置が義務付けられているが、香港には多くの富裕層などもいる。こうした人たちが「周りの目を気にして通常のトイレは使いにくいというニーズがある」と話す。そこで同社は、この空間をラグジュアリー感あるもにし、バリアフリーの手すりなどはしっかり付けたうえで、利用ごとに補助具や仕掛けが可動式で使えるようなスタイルも見据え、香港のニーズに応える提案も考えたという。

 展示会場に設けられたジャパンパビリオンでは各社ごとに仕切られたブースを展開するのではなく、柱と梁(はり)で櫓(やぐら)のように盛さんがブースをデザインし、回遊できるよう工夫した。1区画をラウンジのように仕上げ、香港のデザイナーと日本の事業社が簡単なトークを繰り広げたり、抹茶を提供したりして、「トータルで日本をアピールする」ように臨んだという。

 「今後はこれらの展示アイテムを商品化したり、新たなデザイナーと日本企業をつなぎ合わせ、プラットフォーム化させることができたら」と盛さんは意気込む。

 ●=王へんに昆

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