続々とカフェがオープンしている香港で2月7日、高級住宅街ミッドレベルズ(111 Caine Road, Central)に自家焙煎(ばいせん)でコーヒーを提供するカフェ「FILTERS LANE」がソフトオープンした。
ケインロード沿いの路面に位置する同店は、大きなガラス張りの入り口に4キロの自家焙煎釜を置き、道行く人にも焙煎の様子を見てもらえるよう工夫した。焙煎は1日1回。日により異なるが11時ごろから1時間ほど、その日に必要な分だけ焙煎することが多いという。席数は20席。
焙煎を担当するのは日本人女性の加藤さん。もともと2010年から焙煎の仕事をしてきたが、「次の展開を考えたいなと思ったときに、新しいことに挑戦したいと考える香港人とバーで偶然出会った」という。意気投合をした2人は資金と技術をそれぞれ出し合い、店のオープンを形にした。
香港では返還後にパシフィックコーヒーが店舗を開き、2000年にスターバックス進出で外国資本参入による市場の活性化が一気にコーヒー文化を広げたが、浸透には長い時間を要した。その後、ここ数年のコーヒーを中心とした小規模店のオープンラッシュにつながるが、多くの店では焙煎された豆を海外から輸入したり、香港の工場で焙煎されたものを運んだりして使うことが多いため、店頭で焙煎する店は珍しい。
同店で提供するコーヒーの豆は全て日本から黄緑色の生豆の状態で仕入れている。焙煎の前に欠けたり、色が異なったりする豆などを手作業で取り除く手間をかけることで、必要ない渋みや苦みが発生しないように気遣う。加藤さんが香りと音をききわけ焙煎したものをバリスタのイェンビー(Yanbi)さんがいれるスタイルで提供する。
コーヒーメニューはハウスブレンドとして「エスプレッソ」(28香港ドル)、「アメリカ―ノ」(32香港ドル)。フィルターコーヒー(各55香港ドル)として常時5種類以上の異なる豆のコーヒーを提供している。コロンビアとホンジュラスの豆をブレンドした「アサギ(Asagi)」は「香り高く、すっきりとした酸味と苦みを楽しめる」といい、ブラジルとグアテマラの豆をブレンドした「サンゴ(Sango)」は「丸みがある味で一息つきたいシーンに合う味」という。併せて、日本人が作るチョコレートケーキ、アップルタルトなどのスイーツ、サンドイッチやアボカドシュリンプ、キーマカレーなどのラップ類を用意し、片手で食べられる程度の軽食も用意する。
「店名でも言い表す通り、この店というフィルターを通して、話し合いながらいいものを抽出していきたい」と加藤さん。「コーヒーを店で飲んでもらうだけでなく、コーヒー文化を知ってもっと多くの人が朝からコーヒーを自宅で楽しむシーンをつくりたい」と意気込む。
営業時間は8時~18時。(土曜・日曜=10時~)水曜は休み。