
香港で3月開催として毎年恒例の基幹イベントとして定着した「アート・セントラル」が3月30日で閉幕した。
アーティスト・ユニットthree(スリー)によるフィギュアを大量に用いた立体作品
会場は中環のフェリーピア近くのセントラル・ハーバーフロントで、3月26日~30日の5日間開催され、節目となる10回目を迎えた今年は、アジアと世界各地40カ国と都市から100以上のギャラリーと500人以上のアーティストが参加した。コンテンポラリーアートの発展と実験に特化した同アートイベントは、多くのコレクターや新進バイヤーが訪れる場所となっている。来場者は6日間で4万3000人以上を記録した。
加えて、アジアのアートエコシステムの育成に取り組む同イベントには、「定評のある」ギャラリーや「有名」アーティストから、新世代の才能を紹介するギャラリーや次世代のアーティストまで幅広く参加し、絵や彫刻のみならず、音、光、映像などを駆使した多様なアート作品やプログラムが展示された。
会場にはシャンパンを提供するコーナーや、コーヒーや食事を提供するブースもあり、来場者はドリンク片手にアートが並ぶ空間を楽しむ姿が見られ、多くの香港人でにぎわった。
今年は「Legend」「NEO」「異體|雕塑及裝置項目(Yi Tai Sculpture & Installation Projects)」「唐納天(Nadim Abbas)」「影像藝術(Video Art)」「表演(Performance)」「Akeroyd Collection」「攝影(Photography)」「講座(Talks)」「展會導覽(Tours)」という10のプログラムで会場を構成した。
中でも、1970年以前に生まれたアーティストの作品をブース内で紹介し、アート界の大物たちの作品を紹介し、アート創作の過去と現在のつながりを探る「Legend」や、写真に対する現代的な姿勢にスポットライトを当て、写真や画像ベースのメディアを多く展示する「攝影(Photography)」など、10回目を記念して新設したプログラムに注目が集まった。最先端のアーティストや未発掘のアーティストを紹介するための場として昨年新設されたプログラム「NEO」は今年も引き続き開催し、「次世代のアーティストが有名なアーティストと肩を並べて活躍できる場所」というアート・セントラルの特徴を表すプログラムの一つとなっている。
ロサンゼルスと武漢に拠点を構えるYiweiギャラリーは、「アート・セントラルへの出展は今回が初めて。たった2日間で、私たちの作品の80%が売れた。特に印象に残っているのは、ここのコレクターは他のマーケットと比べて概して若いということ。彼らはアート市場に対する深い理解と豊富な経験を持ち、ギャラリーやアーティストと長期的な関係を築きたいという願望を持っている」と話す。
アート・セントラルのフェア・ディレクターであるコーリー・アンドリュー・バー(Corey Andrew Barr)さんは「10 回目を迎えるアート・セントラルは、香港に並外れたギャラリーとプロジェクトのラインアップをもたらし、アジア太平洋地域の極めて重要な文化拠点としての香港の重要な役割を再確認させた。フェアは、新しいギャラリーの取り組みによってキュレーターのビジョンを広げ、さまざまな世代のアーティストとの新鮮な視点とダイナミックなつながりを育むことができた。この画期的なフェアは、あらゆるバックグラウンドを持つコレクター、キュレーター、アートファンに、アートの無限の可能性、インスピレーション、さまざまな文化体験を提供できる」と述べた。