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Keeta、香港でもドローンを使った宅配サービス開始

6つのローターを備え安定飛行を実現するKeetaのドローン

6つのローターを備え安定飛行を実現するKeetaのドローン

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 オンラインで注文した料理を配送する宅配サービスプラットフォーム最大手Keetaが6月6日、新界(New Territories)北東部でドローンを使った配送サービス「keeta Drone」を始めた。

香港政府もドローン運航の検証を積極的に実施している

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 「北上消費」などの影響で香港の飲食業は低迷しており、今年3月にはライバルだった「Deliverloo」が香港市場から撤退をしたばかり。Keetaの親会社である美団は、keetaのようなフードデリバリー以外にも、配車サービス、口コミ、ホテル予約などを展開する中国本土のテック企業である。

 2017年に美団無人機というドローン会社を設立し、自社でドローンを開発した。2024年12月末の時点で、北京、上海、広州、深センなどの都市で53路線を運航し、オフィス、観光地、公園、図書館などをカバーしている。累計注文数は45万回を超える実績を持つ。

 香港にはKeetaというブランド名を冠して2023年に進出し、ライバルのfoodpandaと2強を形成している。美団は、香港は陸地の6割を山や湖などが占め、坂も多く自転車での配達は大変なところがあるほか、道路がきれいに整備されていないところも多くあり、ドローンを使って解決できるのではないかと考えた。

 香港には6機のドローンがあり、最大2.4キロまで搭載することが可能。6つのローターを備え、もし1つのブレードが故障してもコンピューターが動力を100分の1秒単位で残りのローターに配分することで安定した飛行をできるようにした。騒音を大きく出さないような設計も施す。バーガー、ピザ、パスタ、ローストチキンなどの料理に対応することを想定し、今年3月からテスト飛行を繰り返してきた。

 第1弾として、マクドナルドやピザハットなどの大手飲食チェーンが参加。例えばピザハットは、「Melts Dip 脆批1人飛行餐」「迷●必勝批1人飛行餐」など5つのドローン専用メニューを作り、価格は94香港ドルに設定。顧客はメイン、サイド、ドリンクを自由に組み合わせることができる。

 利用客はkeetaのアプリで馬鞍山公園を登録する必要があり、馬鞍山公園内に設置されたドローンの着陸地点にピックアップに行く流れとなる。配送料として30香港ドルの追加料金がかかる。

 香港でドローンを使った配送サービスを展開するのは、香港科学園(Hong Kong Science Park)の白石角海浜長廊(Pak Shek Kok Promenade)~馬鞍山公園(Ma On Shan Park)間の地点。直線距離にして1.8キロ、ドローンを使えば飛行時間は5分ほどであるため、このルートが選ばれた。道を使えば、ルートの途中に沙田海(Sha Tin Hoi)があるため、城門河(Shing Mun River)沿いを走り、その川を超える橋を渡る必要がある。距離にして7.8キロ、所要時間は40分かかっていた。 

 同エリアは人口が比較的密集していないこと、海を越えることから、ドローンに故障が発生するなど最悪の事態が発生した場合、海に緊急着陸させることができるなどのメリットがある。今回、ドローンを使って配送から受け取りまでにかかる時間は、従来より5~8分短縮されるという。

 サービス開始当初は両方の場所に専属の地上スタッフを配置し、場合によっては食器や食料の積み下ろし、飛行スケジュールの微調整、不測の事態に備えている。ドローンを操縦する人は最低1年間、深センでトレーニングを行う必要がある。今後は、深センで行っているオペレーションセンターを香港に移転するほか、研究・開発施設も香港に設ける方針。

 美団としては、香港でドローン配送サービスは事実上ゼロからのスタートとなることから、定着するまでには数年かかると予想している。将来的には世界で10~15%がドローンによる配送になり、医療物資などの配送に活用されることが多くなると推測している。今年後半にドバイでもドローンを使った配送を行う計画があるほか、ブラジル市場にも進出する考えがあるとを表明している。

 ●=にんべんに尓。

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