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香港政府、広東省からの自家用車乗り入れ開始へ

香港政府は広東省の車両が香港への乗り入れを可能にするスキームを発表

香港政府は広東省の車両が香港への乗り入れを可能にするスキームを発表

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 香港政府は7月2日、広東省の車両の香港への乗り入れを可能にするスキーム「粤車南下(Southbound Travel for Guangdong Vehicles/Southbound Travel Scheme)」を発表した。計画は2つに分かれており、1段階目は香港国際空港利用者を対象に11月から実施する。第2段階は香港市街地への乗り入れで、年内に1日100台限定で認める計画となっている。

広東省の車両の香港への乗り入れを可能にするスキームの1段階目は香港国際空港利用者を対象に11月から実施

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 同計画は、グレーターベイエリアの発展について書かれた計画「粤港澳大灣區發展規劃綱要(The Outline Development Plan for the Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area)」と中央政府の関連文書からの要求に応じて策定されたもの。

 従来、香港と中国本土での両方で運転するには双方のナンバーを取得する必要があった。それを香港の単一ナンバーでも広東省を運転できるようにした「港車北上(Northbound Travel Scheme)」が2023年7月に始まった。粤車南下はその反対版となる。

 利用者は基本的に、香港、マカオ、珠海を結ぶ港珠澳大橋(HZMB)を利用するが、自動車、シャトルバス、観光バスなどを含めた5月の交通量は45万台で、1日平均約1万5000万台に達し、港車北上の実施前に比べて170%も増加した。このうち6000台が港車北上で、40%を占める。

 利用者の目的は、短期ビジネス、広東省に住む親族訪問、観光が多いが、それは「北上消費」を促すことにもなり、香港経済の悪化を招く結果にもなった。そこで、粤港澳大灣區發展規劃綱要に基づき粤車南下を推進することで、広東省の住民が、香港でのビジネス、観光、医療、コンサート、イベント、ショッピングなどを楽しみ、香港経済を活性化することが期待されている。

 第1段階は、HZMBを利用する時に人工島に建設された税関があるが、そこに1800台分の駐車スペースがあり、ここにいわゆる「パーク&ライド」の機能を持たせる。ネットなどによる事前予約制で、駐車後はシャトルバスに乗り、香港国際空港の制限区域に移動する。そこで搭乗と荷物の手続きを行い、香港への入境審査を受けることなく搭乗ゲートに向かい、外国の目的地へと飛び立つ。2024年に香港国際空港を利用した大湾区のからの旅行者約950万人のうち約600万人が乗り継ぎ客であることから、香港国際空港のハブ機能の優位性のアピールにもつながる。利用者の平均駐車日数は3、4日程度を見込んでいる。

 第2段階は、広東省の自家用車の香港市街乗り入れ。香港政府は、広東省の車両は香港の法律に従わなければならず、事故などが発生した場合、香港の法律に従って対処するとしている。それでも、広東省と香港で異なる車検の問題、ドライバーが香港の交通ルールに適応できるかどうか、白タク問題が香港でもクローズアップされているが、「広東省の車が白タク営業をしないように防止できるのか」「渋滞を含めた交通状況はどうなるのか」などの点を勘案して、まずは1日当たり100台から始めることにした。年内の開始を見込んでいる。

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