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香港のキャセイグループ、中間決算発表 堅調な利益確保も株価は急落

香港を拠点とするキャセイグループは、8月6日、2025年上半期の中間決算を発表した

香港を拠点とするキャセイグループは、8月6日、2025年上半期の中間決算を発表した

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 香港を拠点とするキャセイグループが8月6日、2025年上半期の中間決算を発表した。純利益は37億香港ドルに達し、前年並みの安定した業績を確保。2年連続で中間配当(1株当たり20香港セント、総額13億香港ドル)を実施するなど、財務基盤の強さを示した。一方、決算発表直後の8月7日には4.5%の下落が報じられ、その後も売りが続き株価は3営業日で約12%下落した。

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 同社はまた、米ボーイング社製の最新鋭長距離機「777-9」を14機追加発注することを発表。これにより、同型機の総発注数は35機となり、グループ全体の航空機更新・拡充計画は100機以上に達する。新しい客室プロダクトやラウンジ、高速Wi-Fiなどの導入を含め、総額1,000億香港ドルを超える大型投資となる。

 パトリック・ヒーリー会長は「この包括的な投資は、香港を世界有数の国際航空ハブとしてさらに強化し、顧客体験を新たな次元へと引き上げるもの」と述べた。

 2025年上半期の業績は、旅客数と輸送能力の増加、貨物部門の安定した収益、燃料費の低下などが寄与。旅客収益はやや低下したものの、全体としては堅調な推移を見せた。貨物部門では電子商取引関連の需要が堅調で、キャセイカーゴは引き続き高い評価を受けている。関連会社の損失は前年同期の3億4,200万香港ドルから1億8,100万香港ドルへと縮小し、グループ全体の収益性改善に貢献している。

 今年に入り、キャセイパシフィックと香港エクスプレスは合計19の新規就航地を発表し、既に運航を開始。世界100以上の都市への乗り入れを実現している。特に夏季にはヨーロッパ路線の増便が注目され、香港と欧州を結ぶ利便性が大きく向上した。

 このネットワーク拡充は、香港国際空港の第3滑走路開業に伴う需要増にも対応するもので、香港の国際競争力を高める重要な施策と位置づけられている。

 2026年にはA330型機にフルフラットのビジネスクラスを導入、2027年には777-9型機に世界最高水準のファーストクラスを搭載する計画もある。現在のビジネスクラス「アリア・スイート」は国際的なデザイン賞を受賞するなど高い評価を得ている。

 今年8月からは全機材で座席背面機内エンターテインメントと高速機内Wi-Fi接続を100%提供。地上施設でも改善が進み、香港国際空港の「ザ・ブリッジ」ラウンジは全面改装を終えて再開。北京の旗艦ラウンジは今月中に再オープン予定で、2026年にはニューヨークにも新ラウンジを開設する。

 こうした前向きな発表にもかかわらず、キャセイの株価は決算発表後の3営業日で約12%下落した。旅客収益の減少傾向が見られ、特に日本路線などで運賃が下落し、収益性に不安が残る。さらに、傘下のLCC香港エクスプレスの赤字が拡大している。貨物事業についても、パンデミック期の好調から一転、成長鈍化の兆しがあるなどの懸念が影響した。アナリストの一部は、キャセイ株を「売り」に格下げしており、今後の業績見通しに対する慎重な姿勢が広がっている。

 キャセイグループは、持続可能性、デジタル化、顧客体験の向上を軸に、今後も成長を続ける方針。ヒーリー会長は「われわれは香港の航空ハブとしての地位を守るだけでなく、さらに高めていく責任がある」とコメントしている。

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