広東省の車両が香港への乗り入れを可能にする「粤車南下(Southbound Travel for Guangdong Vehicles)」の第1弾である香港国際空港への乗り入れが11月15日に始まった。第2弾の香港市街地への乗り入れは12月23日に始まる。
従来、香港と中国本土での両方で運転するには双方のナンバーを取得する必要があったが、2023年7月、香港の単一ナンバーだけでも広東省を運転できるようにした「港車北上(Northbound Travel Scheme for Hong Kong Vehicles)」が開始されており、今度は逆に広東省のナンバーのみで香港に来ることが可能になる。
香港経済は、香港人が深センなどで消費活動を行う「北上消費」の影響などで経済が低迷している。広東省の住民が香港を訪れる「南下消費」を促すことによって香港経済を活性化させたいという思惑がある。ただ、香港全体としてのキャパシティーの問題などから、最初は広州、珠海、中山、江門の4都市の市民を対象とし、半年後に広東省各都市の住民に拡大する方針となっている。
15日に始まった第1弾は「轉機停車場(Park & Fly)」と名付け、車で香港国際空港に向かい、香港を起点に海外に向かう人たちを対象とする。専用駐車場は24時間営業で1800台の駐車スペースを用意しているが、11月1日から先着順で予約を受け付けている。
申請者は、搭乗する航空券情報、搭乗者全ての身分証明書、パスポート、車両の資料を申請しなければならない。駐車料金は前払いし(駐車日数にもよるが3日間で約100香港ドルを想定)、自動車保険にも加入する必要がある。
申請が認められれば、港珠澳大橋(HZMB)の珠海側から香港に向かい、税関のある人口島の香港口岸(Hong Kong Port)に建てられた専用駐車場に駐車する。香港市街に向かうことはできない。
駐車場到着後、シャトルバスで空港そばにあるフェリーターミナルの「海天中轉大樓(SkyPier Terminal)」に向かい、そこで搭乗手続きや預け入れる荷物の手続きも行う。各種手続き終了後、空港内を走る列車に乗って直接、搭乗口まで向かい、目的地に向かう。事実上、香港には入境しないため、香港に関する税関手続きは行われない。
海外から香港国際空港に戻ってきた後は、第1ターミナルの制限区域内になるE2カウンターに向かい、旅行日程や利用者などの再確認などを行う。その後、フェリーターミナルに向かい、そこからシャトルバスで駐車場に移動し、車で帰途につく流れとなっている。
香港国際空港を管理・運営する機場管理局(AA)よると、将来的には3000台まで拡大させる予定だという。
第2弾の香港市街への車両乗り入れは12月23日に始まるが、1日100台限定とし、最大3日間滞在できる。12月9日に申請受け付けが始まるが、香港の免許証を所持していること、香港の規定に基づいた車検を受け、香港側の車両要件を満たすことに加え、自動車保険にも加入しなければならない。有効期間は最長で1年。申請が認められれば登録証を受け取れるが、予約数が超過した場合は、コンピューターによる抽選となる。
交通事故が起これば香港市民も不満が高まることが予想されることから、運輸署(Transport Department)の公式サイトには、香港の信号システム、左側通行であること、基本的に制限速度は50キロであること、チャイルドシートの規定など細かく書かれている。