日本の農林水産省2月3日、昨年の「農林水産物・食品の輸出実績」を発表した。2025年の農水産物・食品の輸出額は前年比12.8%増の1兆7,005億円と13年連続で過去最高を記録したことを明らかになった。国・地域別で見ると、香港は、東京電力福島第1原子力発電所に関連する多核種除去設備(ALPS)処理水による輸入制限を実施しているが、それでも同0.8%増の2,228億円と前年を上回り、アメリカに次ぎ今年も2位となった。
国・地域別でトップに立ったのは2年連続アメリカで、同13.7%増の2,762億円。トランプ関税の影響はあまりなかった。2位を堅持した香港は同0.8%増の2,228億円だが、シェアにして13.1%を占めるほど日本にとって大きな市場を形成している。3位は台湾で、同6.4%増の1,812億円となった。4位の中国は同7.0%増の1,799億円。ただし、中国は、高市早苗首相の台湾有事に関する発言により2025年11月から日本産水産物の輸入再開手続きの見合わせを通知し、事実上、輸入を停止しており、2026年はこの措置が撤回されない限り、厳しい状況が続くと考えられる。5位は韓国で同20.0%増の1,094億円と初めて1,000億円を超えた。上位10カ国・地域で見ると、香港と中国以外は過去最高を記録した。
「輸出重点品目における輸出額の増加が大きい10品目」で見ると、「緑茶」が357億円増。欧米やASEANにおいて、健康志向や日本食への関心の高まり等を背景に、ラテやスイーツなどの食品原料となる抹茶を含む粉末状茶を中心に増えた。次に大きかったのは「ホタテ貝」の211億円増で、ベトナム向けが大幅に増加した。「ブリ」は113億円増で、アメリカで、脂ののった大型サイズの需要の高まりなどで単価が上昇したことにより増加した。
減少したのは「ホタテ貝加工品」の59億円の減少。これは香港向けだが、輸入規制ではなく、干し貝柱やボイルほたてなどに向けられるホタテ貝の不漁などにより減少した。「リンゴ」も58億円減で、台湾向けで、贈答用の大玉で見栄えの良いものが高温・雪害により確保できなかった。さらに、「ナマコ(調製)」で26億円減だった。香港・台湾向けが引き合いの弱まりによる単価の下落などにより減少した。
一方、12月単月で見ると「畜産品」「果樹・野菜など」は1.6%減、15.7%減と、それぞれ前年同月比を下回ったが、「水産物(調整品は除く)」は同26.9%増の372億円と大幅に伸びた。特に、ホタテ貝が同24.6%増の112億円と水産物の総額の3割を占めており、ポジティブな状況になっている。
改めて香港の状況を考えると、ALPS処理水に関係して10都県の水産品の輸入禁止の措置が解除されていないにもかかわらず、わずかながら前年を0.8%上回った。その状況下で、人口わずか750万人の都市で、輸入制限が行われているにもかかわらず2位を維持した事実の背景には、変わらず日本食を提供するレストランが多いことも理由と考えられる。最近では進出のジャンルがチェーン店系の低価格の店が増えていて、必ずしも日本産だけを使っていないブランドも多く進出するが、必然的に日本食材を使う機会も多く、香港への輸出は変わらず続いていくものと見られる。